※エリコさんリクエスト


「ねぇ、外なんか見てないで俺の相手してよ」
イルミがaaaに向かって言った。
ヒソカの恋人であるaaaがなぜイルミの家の、イルミの部屋にいるかというと、それは一週間前に遡る。

淡白な恋人

一週間前。
「ただいま、aaa◆」
三日間家を留守にしていた家の主、ヒソカが帰ってきた。
「おかえり。ご飯は?」
「食べる。aaaの手料理が食べたいんだけど…」
ヒソカは玄関からリビングに向かい、キッチンをうろうろするaaaを見つけた。
「あー…さっき私食べちゃって。あまりあるけど、それでいい?」
「うん」
ヒソカは冷蔵庫から水を取り出し、ごくごくとそれを飲みながら返事をした。
aaaは電子レンジで今日のご飯だったシチューを温める。
ヒソカはaaaの手料理を食べると、すぐに風呂に入ってしまった。
aaaは食器を洗いながら、「あれ?」と呟いた。
「私たちって…恋人だよね…?」
aaaはヒソカが帰ってきてから、恋人らしい行為を一度もしていない。
キスも、ハグも、どれも。
自分で言って確かめながら、aaaはうんうんと唸った。
ヒソカはご飯中「おいしい」とは言っていたが、これは手料理を振る舞われた人物なら誰でも言うし、やはり恋人らしい行為はひとつもしていないことになる。
一人考えていると、リビングのドアが開いた。
「あ、ヒソカ、あのさ、今日…」
初めてaaaが夜のお誘いをしようと口を開いたその時、ヒソカの台詞は信じられないものだった。
「ん?aaa、まだいたんだ」
濡れた髪をタオルで拭うヒソカの言葉に、aaaは怒りバロメータが一気にマックスになった。
「なっ、何それ!私はヒソカのために家掃除してあげたりご飯作ったりするのはヒソカが好きだからなのに、ヒソカにとって私って掃除婦かなんかなの!?」
aaaは一気にまくし立てた。
きっ、とヒソカを睨むと、文字通りどす黒いオーラ剥き出しで、必要最低限の物だけかばんに詰めて家を出て行った。
その間、約二分。
ヒソカに、怒るaaaを引き止める時間はなかった。
一人取り残されたヒソカは、荒々しく閉められたリビングのドアを無表情のままじっと見つめていた。

「ヒソカはやめとけって、だから言ったじゃん」
イルミがaaaがゾルディック邸に来て言った言葉がそれだった。
「いや、言ってないし」
aaaはツッコミながら、イルミに笑った。
イルミはベッドで本を読んでいる。
ヒソカと同じくらい整った顔をしていると思う。
「……はぁ」
窓の外を眺めながら、aaaは溜息を吐いた。
aaaは、こんな家出まがいのことをしてヒソカが探して来ないかと期待していたが、ヒソカは一週間経っても姿を現すどころかメールさえ寄越さなかった。
「ねぇ、外なんか見てないで俺の相手してよ」
イルミがそう言ったから、aaaは仕方なくベッドに向かった。
「最近ご無沙汰だったから、ちょうどよかった」
イルミは表情を変えずにaaaを組み敷いた。
二人とも、ごそごそと服を全部脱ぐ。
「乱暴にしないで、ね…っ、あ…!!」
aaaの忠告を最後まで聞かず、イルミはaaaの胸の突起を口に含んだ。
「ちょっと……やっ……痛ッ!」
濡れてもない膣に指を挿れられ、aaaは顔をしかめた。
「俺、手加減する気ないから」
「最低…あっ、ヒソカもそうだった…な…」
「じゃあ、いいじゃん」
イルミは気にせずにaaaの膣に入った指をピストンさせた。
aaaは目の前のイルミではなく、ヒソカを思い浮かべていた。
「ヒソカ…」
aaaは求める相手の名前を小さく呟いた。

情事を済ませた二人。
aaaはベッドで体を休め、イルミはさっきの本の続きを読んでいた。
静かな空間に、ピルルルと携帯の着信音が鳴り響いた。
aaaは慌てて携帯を手に取ると、そのまま勢いで電話に出ていた。
「やぁ、aaa◆ 今どこにいるの」
「…イルミの家」
「…………………そっちか。イルミに迷惑かけてるんだろ。早く帰っておいで」
ヒソカの声は至って冷静だ。
「……帰ってくると思うの、そんなんで」
「帰ってこないのかい?」
形勢逆転しそうだと思いながら、aaaは冷静さを保とうとする。
「…ヒソカがずっとそんなんだったら、あ」
イルミがaaaの携帯を奪った。
「俺がもらうから」
イルミがヒソカに向かって電話越しに言う。
「イルミ、aaaはボクの物だ。手を出したら承知しないよ」
「もうしたって言ったら?」
「………早くaaaを返してくれないかな」
ヒソカの声色が変わり、電話越しにもわかるヒソカの怒りように、イルミは電話を切ってaaaに渡した。
「早く帰って。ヒソカがこっちに来ると面倒だから。早く」
イルミはaaaの背中を押して部屋から追い出そうとするが、aaaは抵抗してドアにしがみつく。
「は!?ここにいさせてよ!私ヒソカに会いたくないもん!」
「これ以上、ヒソカの機嫌損ねたらめんどくさいから、ほら」
どん、と強い力で背中を押され、aaaは部屋を追い出されてしまった。
服を着ていてよかったと思い、ちゃっかり一緒に出されたかばんを肩にかけ、ゾルディック邸をあとにした。

重い足でヒソカの家があるマンションに向かうと、ゆっくりとドアを開けて入った。
殺気がすごい。
「ヒソカ…」
「早かったね」
ヒソカはリビングのソファに座り、ローテーブルにトランプタワーを作っていた。
「……ヒソカ、私、ヒソカが謝らないと、別れるから」
「ボクに謝ってほしいところだけど、まぁボクにも非があるから、これだけは言っとくけど、ボクが一週間前に言った言葉は、キミの勘違いだよ」
ヒソカはaaaの顔を見ずに答えた。
「……"まだいたんだ"?」
aaaはヒソカを睨んだ。
この台詞のせいで、aaaは今、愛している恋人と別れの危機にあるのだ。
「もう、寝てると思ってたんだ。あの日、ボクが帰ってきたのは午前3時だったろう?眠そうだったし…」
ヒソカはにやりと笑って、後ろにいるaaaに言った。
「ごめんね◆ aaaはボクの恋人だよ。掃除婦じゃなくてね」
「……ヒソカの馬鹿っ!馬鹿馬鹿馬鹿!!…だいすき…」
馬鹿なのは自分だ、と涙を流しながらaaaはヒソカに抱き着いた。
その反動で、ヒソカの腕がトランプタワーに当たって崩れた。
「…泣いてるキミもいいけど、今は鳴いてるaaaが見たいな◆」
「はっ!?」
「イルミに抱かれたんだろう?aaaはボクのなのにそんなことは許されない◆ 殺さないだけマシと思ってほしいな」
ヒソカは言いながらaaaを自分が座っていたソファに押し倒した。
「ちょっと待って…ヒソカ…!!…だめっ!あッ」
甘い痛みがaaaの首筋を襲う。
「キスマーク付けてないだけマシかな」
ヒソカはトランプでaaaの服を切ると、心許ない胸があらわになった。
そのままaaaの胸の突起に噛み付いた。
「あ…!あぁ!ヒソカ…」
「aaa、可愛い。愛してるよ◆」

その言葉が、聞きたかった。

aaaはヒソカを抱きしめた。
「ヒソカ!私も愛してるっ!」
「ン◆」
aaaの愛の言葉を受けて、ヒソカは軽いキスを送りながら、下に手を伸ばした。


〇Message
エリコさん、リクエストありがとうございます
異様に長くなってしまいました
ご期待に添えているといいのですが…
これからもサイトをよろしくお願いします!


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