おせち

大晦日から元旦になり、船の上で宴を終えたクルーたちは甲板で、または部屋でぐっすりと眠っていた。
しかしその中に二人、キッチンに立つクルーがいた。
サンジとaaaだ。
「眠くないかい、aaaちゃん」
「大丈夫!」
aaaはおせちの準備をするサンジを手伝っていた。
大きな重箱を洗って拭いたり、飾り付けを手伝ったりしている。
「ほんと?無茶しなくていいんだよ?」
「もうっ!いいじゃん!したくてしてるんだって!」
執拗に心配するサンジを、aaaが睨みつけた。
「…おせちは量が多いし、きっと長くかかるよ?」
サンジは困った表情を浮かべた。
「じゃあなおさらだよ。元旦から苦労するサンジくんを手伝いたいっていうのもあるけど、年越しの夜くらいサンジと一緒に寝たい…」
aaaは照れ臭そうに手で顔を隠しながら言った。
サンジの胸がきゅんと高鳴る。
「aaaちゃん、ありがとう…!」
いつものメロリンとは違って、感動して震えるサンジも可愛いと思いながら、aaaはグツグツと煮立つ鍋を指差した。
「サンジくん!」
「うおっ!」
サンジは慌てて火を止めると、ふうと一息ついてaaaに笑いかけた。
「aaaちゃん、早く作ろう」
子供みたいなまぶしい笑顔が微笑ましいサンジ。
「…うん」

「サンジくん!このにんじん私が型取っていい?」
おせちに入る野菜、大根とにんじんを切りながらaaaが言った。
「ん?うん。いいよ、よろしく」
「やっぱり花がいいのかな」
花の型を手に取りながら、aaaはそれを見つめる。
「それとも星?……あ、」
星の型を見ていたaaaがあるものに気が付いた。
一方サンジは甘く煮た黒豆だとか伊達巻きだとかいろいろ作っていた。
ついでにお雑煮に使う出汁を取ったりと忙しい。
「ん、うまい」
サンジは味見をしていると、aaaに後ろから声をかけられた。
「何?aaaちゃん」
「見てっ!やっぱこれだよね!」
ハート型とにんじんを見せつけるaaa。
「愛は世界を救う!愛で世界は平和になる!」
「おれたち海賊だぜ、aaaちゃん。おれたちが余計治安悪くしてンの!」
「あっ、そうか!」
ハッと気付いて笑う二人。
「はい!いろんな形の大根とにんじんになりましたー」
aaaはサンジにハートを含め星や花の型をした野菜を差し出した。
サンジは受け取ったにんじんを沸騰した鍋に入れると、その数分後に大根を入れた。
「ありがと、aaaちゃん」
サンジにお礼のキスと頬にされたキスが熱くて、顔が真っ赤になる。
「aaaちゃん、可愛い。おせち作るのやめて、aaaちゃんを料理してェ…」
サンジがaaaの腰をがっしりと抱きしめてaaaに囁くと、aaaは体がぶるりと震えたのがわかった。
なんて官能的な声なんだろうか、私を刺激してならない、と思う。
「駄目、サンジくん…」
首筋に何度もキスを送るサンジを引き離そうとするaaaは、ほんの少し力を込めてサンジの肩を押す。
「わかってる。…あとちょっとだ」
出来上がる直前のおせちを一瞥しながら、aaaの服のボタンを二つだけ外すと、aaaの下着から覗く胸に、ちゅうと吸い付いた。
「あ…っ」
甘い痺れに小さい声が漏れた。
「……あとは、おあずけ」
サンジはそう言うと、にんじんと大根を引き上げて、重箱に盛った。
他の料理たちも彩りを考えて綺麗に重箱を着飾る。
「サンジくん、さすが!」
「どうも」
たばこを吸うサンジに笑いかけるaaa。
「……やっと、」
夜中の二時半、幽霊が盛んになるころ、やっとおせちを作り終えたのだ。
「aaaちゃん、さぁ、行こうか」
たばこを灰皿に押し付け、サンジはaaaに手を差し出した。
「……うん」
えっちな意味でも、サンジ相手だと素直に嬉しい。
自分が求められているという事実が、喜ばしい。
aaaはサンジの手を取ると、ロビンやナミが眠る女部屋ではなく、ちょうど誰もいない男部屋に向かった。

朝、いつもなら必ず誰よりも早く起きてキッチンに立っているサンジがいないことにすぐさま気が付いたナミとロビンは一時間待っても起きて来ないカップルを起こしに行った。
ちなみに他の男クルーも起きていなかったが、それは人数が多いのでロビンに任せておく。
ナミは男部屋に着くと、容赦なくドアを開けた。
むわりと嫌な臭いが鼻をついた。
ナミは顔をしかめると、ベッドで眠る二人組に大きな声で叫んだ。
「もう朝よ!起きなさいッ!!」
「え!?…ナミだぁ……ハッピーニューイヤー…」
寝言のように呟くaaaにナミは溜息を吐きながら、部屋から出て行った。
「ふわぁー…おはよう、aaaちゃん」
「サンジくん……おはよ」
裸の二人は、下着を身につけながら、挨拶を交わした。
「今年もよろしくね、サンジくん」
「こちらこそ、プリンセス!」
ウィンクをしたサンジと手を繋いだaaaは、一緒に部屋から足並み揃えて出た。

ア・ハッピーニューイヤー!


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