このページは全てマルコ夢です
※現代パロディ、海賊もの共にあります


21 【素性法師】
今来むと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな

「すぐ行くよい」
とマルコがそう言うから、私はずっと言葉を信じて秋の長い夜を寝ないで待っていたのに、マルコは来なかった。
白ひげ海賊団がこの島を出たと聞いたのは明朝のことだった。


22 【文屋康秀】
吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ

「うぉあー嵐だぁー」
クルーが叫んだ。
重い腰を上げ、揺れる船内を巡る。
クルー達が慌ただしくしているが、おれは至って冷静だった。
島を離れて十分も経たないうちの嵐。
ふと島の方を見遣ると、山にびゅうびゅうと吹く風が見てとれた。
あちらも風が強いようだった。
山の草木がしおれているようだ。
ああ、だから山風は"嵐"と呼ばれるのか。


23 【大江千里】
月みれば ちぢにものこそ 悲しけれ 我が身一つの 秋にはあらねど

暗い夜更けに月を見た。
色々な思いが心を駆け巡る。
馬鹿みたいに感傷に浸る。
別に自分にだけ秋が来たわけでもないのに、どこか寂しい。


24 【菅家】
このたびは ぬさもとりあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに

急な出発に神に捧げる幣を用意できなかった。
無神教ではあるが。
仕方がないから、手向山に生えているキレイな紅葉を差し上げようと思う。


25 【三条右大臣】
名にしおはば 逢坂山の さねかづら 山にしられで くるよしもがな

逢坂山の名の通り、誰にもバレずに愛する人と逢って寝たい。
無理な願いだろうがよい。


26 【貞信公】
小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば 今ひとたびの みゆき待たなむ

「親父!!見てくれよい」
マルコは両手を広げて、後ろの風景を見るよう施す。
「どうしたァ」
白ひげ、エドワード・ニューゲートが声を上げ、マルコの後ろへと目を遣った。
「すげェだろうよい!」
山一面の紅葉。
「…あぁ」
白ひげは笑うと、マルコもつられて笑った。
「マルコ隊長、先日からずーっと枯れるなって言ってばっかでしたよね」
一クルーが言うと、「うるせぇよい!」とマルコが叫び、それが引き金となり皆が笑った。


27 【中納言兼輔】
みかの原 わきて流るる 泉川 いつ見きとてか 恋しかるらむ

瓶原を分けるように流れる泉川。
誰にも離されまいと思った心が、今、川の名のように分かれている。
aaaが恋しいよい。


28 【源宇干朝臣】
山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば

「ま、マルコさ……」
aaaはがくがくと震える体を丸めている。
「寒ィかよい」
マルコがaaaを抱きしめた。
「はうーっ」
「変な声出すんじゃねェよい」
後ろから抱きしめ、そしてぺろりと耳を舐めた。
「……なんでこんなことに」
aaaとマルコは山の穴蔵にいる。
なぜかといいと、二人は遭難したからだった。
「……ごめんなさい」
aaaが「こっちこっち」と言うからついて行けばこうなった。
マルコは溜息をついた。
「気にしてねェよい」
ここは秋島、季節は冬。
「…さむ」
寒いのは当たり前のことであった。
穴蔵の外は人もおらず、草木も枯れていて寂しさがある。
「aaa、考えたんだがよい」
マルコが後ろから声をかけた。
「へ?」
aaaはまぬけな声を出しながら後ろを向いてマルコの顔を窺った。
「おれが不死鳥になって山を下りればいいんじゃねェか、よい」
「あ、そっか」
その手があったかー、と納得しながらaaaはぽん、と手を叩いた。
マルコは、ボボッという音と共に不死鳥になり、aaaはそれに跨がった。
(エロい体勢だよい)
そう思いつつ山を下るマルコであった。


29 【凡河内躬恒】
心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花

「うわー、すごっ!!」
aaaが叫んだ。
冬島に着いて船を下りると、一面霜で真っ白だった。
「……マルコさん!ちょっと待ってて下さいねー」
そう言って、aaaは霜だらけの地面を触り始めた。
「さむーっ、つめたっ」
と言いつつaaaは行為を続け、マルコはそれを眺めた。
そしてポキンと音がした。
「みっ、見つけたー!!」
「何を」
「白菊ですよう」
はい、とマルコに白菊を渡すと、aaaは笑った。
マルコはそれを受け取ると、aaaの冷たくなった両手を握って、その手にキスを送った。
「ありがとうよい」
aaaの顔は真っ赤に染まり、マルコはにやりと笑った。
「……マルコさん、好き」
「おれもだよい」
ちゅ、と軽く口づけを交わした。


30 【壬生忠岑】
有明の つれなく見えし 別れより あかつきばかり 憂きものはなし

暁が赤く私とマルコを照らしていた。
誰にもわからないように皆が起きる前の明朝に別れるのに、マルコは寂しくも辛くもないといった顔だった。
私は寂しいのに、辛いのに。
月はいつまでも光っている。


※地名はそのまま使ってます


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