「お前、おれのことが好きだろう」
「はっ!?」
心外なことを言われて、私は腹が立って鳩尾を殴ってやった。


ずるいから好きです


「おれを殴る女なんか初めて会ったぞ…」
腹に手を当てながら、ローが呟いた。
「そう。女運がいいんだか悪いんだか」
痛そうに蹲るローに申し訳なくなるが、aaaはその感情を無視してローを睨んだ。
「…あんたなんかに興味ないわよ。会って二日しか経ってないし」
aaaはある島の酒場の看板娘。
ローはたまたま寄った島で、たまたま入った酒場でaaaと出会った。
aaaは海賊であれ、普通の客と変わらない態度でローに接していた。
「…よく目が合うだろ?」
「それはあんたが見てるからじゃない?」
ローが飲み終わった酒瓶をカウンターに持っていく。
「いや…、……そうかもな」
「あ、認めるんだ」
aaaはつまみをローの前のテーブルに置いた。
「座れよ」
「両手に花のあんたの近くになんか寄りたくない」
ローの両側には色っぽい女性がローに絡み合っている。
「なんだ、嫉妬か」
「私、あんたなんか好きじゃないから」
aaaは踵を返した。
「……素直じゃねぇやつ」
ローは背中を向けたaaaを見ながら、酒に口をつけた。

翌日の昼。
「きゃあ!」
「いいケツしてんな?」
aaaは酔っ払った男に尻を触られた。
所謂、痴漢だ。
「なっ…、あんた、サイッテー!!」
ば、と手を上げたaaaが男をひっぱたく前に、男は床に叩き付けられた。
(あれ?私って超能力とか使えたっけ?)
手を上げたまま固まるaaaが床に転がる男から酒場のドアに目をやると、一人の男が立っていた。
「ロー…」
ローが足を上げていた。
不覚にも胸が高鳴っているaaa。
「おれの女に手ぇ出してんじゃねー」
「…お、おれの女って、いつローの女になったのよ!」
「ん?会った時からだろ?」
はぁ、と溜息を吐きながらローは空いている席に座った。
仲間のクルーたちもローの周りに座る。
「当たり前みたいに言わないでよ!気持ち悪い!」
ふい、とaaaは踵を返し、カウンターに向かった。
カウンターからまだ開けられていない酒瓶を取り出し、ローのところへと戻った。
「なんだこれは?まだ頼んでない…」
「お礼よ、そこのやつの」
aaaが指差した先にいたのは床に倒れた男、aaaを痴漢した男だ。
「あぁ…、悪いな」
ふ、とローは微笑んで酒瓶を受け取り、開けた。
(うっ)
初めてローの笑みを見たaaaは鼓動が速くなった気がした。
「aaa、座れ」
手招きをするロー。
「…イヤ」
「今日は両手に花じゃない」
「そういう、問題じゃあないの…!」
ローから目を逸らし、カウンターに戻ろうとするaaaの手を掴んだロー。
「…顔が赤い」
「さっきからロー見てると変になる」
まだaaaはローを見ようとはしない。
「離してよ」
「離したら、おれはほかの女を連れて来る」
その一言に、aaaの体が揺れた。
「…勝手に、連れて来ればいいじゃない!」
「いいのか?ん?」
ローはaaaの顎を掴んで無理矢理視線を合わせた。
「…好きでもない女を連れて、おれが喜ぶとでも?」
「……いっつもニヤニヤしてるくせに」
「aaaの反応が楽しくてな、」
ローは、に、と笑うと顔を鼻がぶつかるほど近くに近づけた。
ドキドキと高鳴る胸を、鼓動を抑えられないaaaは、はぁと溜息を吐いた。
「やっと気付いたな、aaa」
「ずるい…」
じっくりと攻めるタイプなのか、熱烈なアピールはしなかったものの、確実にaaaの心を射止めていたのを、aaa自身、気が付いていなかった。
「こ、こんな男を好きになるなんてー!!」
aaaの叫び声が、酒場を満たした。

「あいつももしかして、さくら?」
「あいつはたまたまだ。たまたまおれの女に痴漢した」
床に倒れた男を見ながら話す二人。
「へー…。気ぃ失っちゃって、ザマーミロ」
「……」
「…なに」
aaaは自分をじっと見つめていたローを睨む。
「おれの女っていうの、否定しないんだな、と」
「あっ!忘れてたー!」
頭を抱えるaaa。
「はぁーっ、ほんとイヤ。ていうか勘違いよ、きっと」
aaaは自分に言い聞かせる。
「どうだか」
「勘違いであってー」



〇おまけ
「そういえば、好きって言われてないぞ」
「私もだけど」
「……わかった、どちらも言えばいいんだろう?」
「いや、言わなくてもいいです」
「よし、aaa、言わなかったら犯す。いっせーのーで、」
「え、ちょっと、す、好き!」
「愛してる。……やっぱり好きなんだな、aaa」
「……ず、ずるいずるい!あれはしょうがないでしょ!」
「じゃあ犯さん、が、言え」
「うっ………すき」
「ふん」
「わーらーうーなー!!」



タイトル:確かに恋だった より


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