弥生さんリクエスト
※学パロ


「好き、なんだ」
「ハァ………て、えぇッ!?」
aaaちゃん以上に可愛い子なんていないぜ。


君を好きじゃいけない理由はない


(あー、やっべ、かわいい)
ナミと話しているaaaを見るサンジ。
aaaとナミは同じ部活で、ナミは先輩でaaaは一つ下の後輩だ。
昼休み中にナミの指導を受けている。
指導と言っても、大概は世間話のようなもので、今も二人は笑っている。
(お…、笑った)
素朴な笑顔が可愛らしい。
しかし、それはサンジ視点であり、クラスの中でも中くらいの可愛さだ。
つまりは、aaa以上に可愛い女の子はたくさんいる、ということだ。
今もサンジの側に二人。
「サンジくんっ、どこ見てるのー」
「ねぇ、話聞いてぇ」
きゃっきゃっと話し始めるギャル系の女子に、サンジは困った笑みを浮かべた。
「へぇ、すごいね」
話の内容は聞かず、ただ曖昧な相槌をうつ。
視線は、aaaに向けたまま。
(バレるかな…)
はぁ、と溜息が漏れた。

「なっ、ナミ先輩…!!すっごく視線を感じるんですが…!」
びくびくとしているaaaに、ナミは笑う。
(サンジくんね…)
サンジを見ると、案の定、サンジはaaaに熱烈な視線を送っている。
aaaは誰が見ているのかまでは気づいていないみたいだが。
「な、なんか私変ですかね」
オロオロとしながら自分の制服を見るaaa。
「…なんにも変じゃないわよ、ただ」
「ただ?」
ナミの言葉を繰り返すaaa。
「…ううん、なんでもないわ」
「きっ、気になります!!」
「なーいしょ」
に、と笑うとナミはaaaにデコピンした。
「ひぎゃっ」
aaaが少し赤くなった額をさすっていると、キーンコーンと予鈴がなった。
「あんた一号館でしょ、早く帰らないと授業間に合わないわよー」
「わかってます!それじゃあまた部活でー」
aaaは小走りで教室を出て行った。

サンジは二人から五人に増えた女子を予鈴が鳴ったからと振り払うと、元の席に戻った。
席はナミの隣だ。
「サンジくん、あんたaaaのこと見すぎ」
「惚れてるもんで」
に、と口を歪めるサンジは子供っぽい笑顔を浮かべる。
「たしかにaaaは可愛いけど…、他にも可愛い子いっぱいいるじゃない。さっきの五人とか」
「あー…、見てたんだ?」
「見えてた、のよ」
視界に入っただけのことだとナミは言う。
「…あ!嫉妬?」
「違うわよっ」
ごん、とサンジを殴ると同時に本鈴が鳴った。

授業が終わり、掃除も終えて放課後。
サンジは帰り道が一緒のゾロとくつ箱でくつを履き変えて、外に出た。
歩いただけで女子がきゃあきゃあと黄色い歓声を送ってくる。
サンジとゾロは、学校で一、二を争うイケメン、らしい。
(まぁ、さ…。レディたちにキャーキャー言われるのは悪い気はしねぇけど…)
手を振る女の子たちに、サンジだけが手を振り返す。
ゾロは無視しているが、女子にはそれも格好良いと思えるらしい。
キャーキャーと言っているのはかわらない。
サンジは周りを見渡すが、捜している人物は、いない。
(…あん中に好きな女がいねぇのは、ちょっと辛いぜ)
ああいう風に少しでも好意を持ってくれていたら脈アリとわかるのに、ナミと話している時aaaはサンジを見もしない。
サンジは今日何度目かの溜息を吐いた。
「ウゼェ」
ゾロの言葉が女子に向けられたものなのか、はたまたサンジに向けられたものなのかは、わからなかった。

翌日の昼休み。
またナミと話していたaaaに、初めて声を掛けてみた。
「あのさ、aaaちゃん」
「あ、はい、サンジ先輩…」
控えめな返事をしたaaaは、サンジを見た。
(………名前呼ばれた!!)
ハァハァと息を荒くするサンジにaaaはびくっと肩を揺らした。
ナミがサンジの頭を勢いよく叩く。
パァン、と音がした。
「ハッ!えっと、放課後ヒマだったら、この教室に来てくれない?」
いつも得意の笑顔が、今はニヤけてうまく笑えない。
サンジは少し引き攣った笑顔をaaaに向けた。
「え…、と、えっと………はい」
aaaは俯きながら返事をすると、教室を走り去った。
顔が仄かに赤かったことに、興奮していたサンジは気付かなかった。

そして放課後、サンジは勢いに任せてaaaに告白した。
「……」
aaaは、思考停止している。
「えー…、aaaちゃん」
「!、はい!」
aaaは冷や汗をダラダラとかいている。
「えっと…その…あの…………ほんとですか」
「本当だよ。これが嘘や罰ゲームだったら…、レディを泣かせることになるし」
「あぁ…そう…」
aaaはただ呆然と、サンジの横にある窓の外を見る。
「なんで…私、なんです?」
「……惚れたからに、決まってる」
aaaの手を取り、aaaを見遣ると、泣いていた。
「嘘…うそ…だって、サンジ先輩は……、学校一イケメンだ…から、私みたいな、ひと……駄目、」
ぼろぼろと涙を流すaaaに、サンジはぎょっと目を見開いた。
「私みたいな…ふっ普通なひとは……サンジ、先輩を…好きになっちゃ…っ」
ひっく、と嗚咽しながら、aaaは涙を拭う。
「なんで、そう思うの…。おれが誰を好きになろうと、aaaちゃんが誰を好きになろうと、誰にも否定できないのに…!!」
サンジは、aaaを抱きしめた。
レディを泣かせてしまったからか、他のなにかなのか、理由はわからなかった。
「おれはaaaちゃんが好き…!」
「美人じゃないしっ…可愛くも、ない…のに」
「どこが。aaaちゃん以上に可愛い子なんかいねぇよ!」
ぎゅうと、腕に力を込めた。
「うぅー…っ」
aaaはサンジの背中に手を回して抱きしめた。

「両想いかぁ、嬉しいなぁ」
「ぶっちゃけてしまうと、その」
「うん?」
「ナミ先輩と話してるのは、サンジ先輩に会うためだったり…」
「……うっそ!」
「でも恥ずかしいから見れなかったんです…」
「そっか……、あー…幸せだな、おれ」
「わっ私もです!」



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