※現代パロディ






「むむーっ」
「……」
初詣。
賽銭箱の前に立って手を合わせる二人。
aaaは何かを念じるように手を擦り合わせ、ゾロは何も思っていないかの如く無言だ。
「…………、おい、行くぞ」
願い終わったゾロが、まだ祈り続けるaaaの腕を掴んで引っ張る。
「えっ、うん…」
後ろには行列。
結構有名な神社で初詣には持ってこいの場所だ。
「あ、ゾロ。お守り買おう」
巫女が販売しているお守り売り場に直行。

「何がいいかなぁ」
恋愛、交通安全、勉学、安産等と種類豊富なお守り。
「これだろ」
ゾロが取り上げたのはピンクと赤を基調としたお守り。
真ん中には大きく『恋愛』と書かれている。
「……ゾロも一緒に買ってね?」
ゾロが持っているものと同じお守りを持って、aaaは言う。
「…たりめぇだろ」
aaaが握るお守りをふんだくって、恋愛成就のお守りを二つ手に持ち会計を済ませる。
「ほら」
二つのうち一つをaaaに渡す。
「ありがとうっ…、ゾロ」
aaaはそれを愛おしそうに見つめる。
ゾロは何も言わずaaaの頭を撫でた。

「初詣の定番と言えばさぁ……おみくじ!!だよねー」
今度はaaaがゾロの腕を掴んで、おみくじのある所へと連れていく。
「するでしょ?」
「……あぁ」
子供だましだ、なんて思いつつもおみくじを引いてしまうゾロ。
「あっ!」
aaaの声色は嬉々としていた。
「……」
一方ゾロは暗く、おみくじを見た後にぐしゃりと握り潰した。
「ぞ、ゾロ……結果どうだった?」
聞くまでもないゾロの行動。
aaaは己のおみくじをゾロに渡し、ゾロのおみくじを開いた。
凶、の文字。
(凶ってないんじゃなかったっけ…?)
不運だ、と思いつつもおみくじをゾロに渡した。
aaaのおみくじは見事、大吉。
「……逆に悪い!」
「何がっ!?」
ゾロの言葉にすかさずツッコミを入れるaaa。
「こんなんで浮かれてっと、すぐ死んじまうぜ」
「…ゾロのおみくじで中和…するから大丈夫だもん」
ゾロは凶と書かれたおみくじを結び付ける。
これで凶のおみくじもまだマシになるだろう。

「フランクフルト!」
「うっ」
「チョコバナナー!!」
「うぐっ!」
身を屈めるゾロ。
「……どうしたの、ゾロ」
ゾロの顔を窺うaaa。
「それは…食うな…」
「えー…仕方ないなぁ…。じゃあ、綿菓子とー、りんごあめにクレープー」
ゾロは甘いものを好かないことを知って、ゾロの分は買わない。
しかしその分、aaaはゾロに己のをやる。
「クレープ。おいしいよ」
どうぞ、と差し出すと一口だけクレープを食べた。
「…甘ぇ」
「そりゃあねー」
クレープ以外のaaaの買った菓子を持ってやるゾロ。

神社から出て帰路。
どちらからともなく二人は手を繋ぐ。
「おいしい」
クレープを食べるaaaの口の周りはフルーツの汁やクリームで汚れていた。
ゾロはそれを見ると、両手は菓子と、aaaと手を繋いでいるせいで使えないからと、舌でaaaの口元を拭った。
「っひゃー!」
驚くaaaをよそに、ぺろりと舐めとっていく。
「ば、ばかヤロウ!」
気が動転し、何者かもわからない物真似をし始めるaaa。
「本当…ばかっ!」
人通りが少ないからって、とゾロの胸辺りを叩く。
「別にイイじゃねぇかよ、おれ達ァ恋人だろ」
キスくらい当然、と言ってゾロはaaaにキスをした。
「……っ」
離れた唇。
aaaはゾロを睨みつけた。
「んだよ。イヤなのかよ」
眉間に皺を作り、溜息を吐く。
「ちがっ…だって、キスとかって…普通、家とかだから…っ!」
機嫌の悪いゾロをなんとかしようとする。
「ふーん……あぁ、外だと興奮するってことか!」
「違いますゥ!」
aaaは怒り、繋いでいたゾロの手を離した。
「っ」
ゾロは咄嗟に離れた手を引き寄せた。
「ひゃっ」
引っ張られ、ゾロの腕の中におさまるaaa。
「ゾロの馬鹿…」
「悪ィ」
まだ朝になったばかりだというのに、重なる影。
「恥ずかしい…」
羞恥で顔を赤くさせるaaa。
「可愛い」
ゾロは紅潮するaaaの頬を撫でた。
「もー……、あっ!」
「あ?……てめっ!」
ゾロの上着にはクレープのクリームが散らばっている。
ゾロがaaaを引き寄せた時だろう。
「ったく…aaaよぉ…」
「ゾロのせいジャン」
「んだと!?」
新年から大喧嘩をするのであった。



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あけましておめでとうございます


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