100 【順徳院】
ももしきや 古き軒端の しのぶにも なほあまりある 昔なりけり


「……見て下さい、マルコさん」
親父とエースの為に、一周忌に咲くよう合わせて種を蒔いた。
墓の周りには一面の花。
親父とエースへの手向け。
「きっと、喜んでますよね」
エドワード・ニューゲートの墓をそっと撫でる。
その手を包んだ、マルコの大きな手。
「当たり前だよい」
に、と笑うマルコに笑みを返した。
手を裏返し、マルコと手を繋ぐかたちとなる。
「マルコさん…私は、きっと忘れない」
「おれもだよい」
す、と見上げた大きな墓。
生前のように凛として家族を見守っている彼の墓。
さぁ、と空を流れた風を合図に、手を離したaaaとマルコ。
二人一緒に後ろに振り返り、墓を後にした。
雑草を踏み倒し出来た道を通っていると、見たことのある顔――。
「赤髪…」
「シャンクスさん!」
そこには左目に三つ傷の付いた男、シャンクスが立っていた。
「よお、マルコ!aaa!おれも墓参りしていいか?」
いつも通りのへらへらした顔で話し掛ける。
「あぁ……、してやってくれい。墓を作ったのはお前だからよい」
と素っ気なく返し、マルコはシャンクスの隣を風を靡かせ通過した。
aaaはシャンクスに一礼し、マルコの後ろについていった。
シャンクスは二人を見送った後、墓へと道を辿っていった。
「……っ」
「……」
二人は一筋の涙を流した。
「見ろい……あの雲、エースに似てる」
マルコの指差した先には雲。
「本当……」
目を細め、その雲を眺めた。
きゅう、と握られた手。
マルコの手を握り返した。


たとえ今見る影がなくとも、
私達は知っている。
ここに美しき時代があったことを。
決して、忘れはしないだろう。





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