このページは全てゲンマ夢です
※現代パロディ、忍者もの共にあります。


81 【後徳大寺左大臣】
ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただ有明の 月ぞ残れる

「…?」
不意に振り向いたその先には何もおらず。
「……う?」
首を傾げた。
「どうした」
「あ、いえ……何か、聞こえたような気が……したん、です…けど……勘違いだったみたい、です」
「ふーん」
前を行くゲンマは歩みを止めずこちらに向きもせず素っ気ない返事をした。
「つき」
「へっ?」
「月が綺麗だ」
ゲンマに言われて空を見上げると、夜道に咲く月が神々しく光っていた。
「ほんとですねぇ」
aaaはゲンマの隣に寄り添い、手を繋いだ。
「ゲンマさん」
「aaaみてぇだ」
「ははっ」


82 【動因法師】
思ひわび さても命は あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり

「ぇっく…、ひ…っ」
寝込むゲンマ。
その傍でひたすら泣くaaa。
任務で大怪我を負ったゲンマはベッドに沈んでいる。
「ふぇっ…え…、く…」
嗚咽は止まることを知らないようだ。
(ゲンマさんが死ぬのなんて…やだよ…)
『忍ならば任務で命を棄てても構わない』
そう言ったのを覚えている。
忍である限りその命は里の為にあると、それでも良いと許したのはaaaだったけれど。
「ひ…っ」
その言葉に、命のはかなさに堪えられないのは私の涙。
aaaはゲンマの手にそっと己の手を重ねた。
すると握り返されたaaaの手。
「っ!!、ゲンマさ…!?」
「……泣くな、aaa………」
「ふっ、えぇええ…!」
aaaはまたぽろぽろと涙を流した。


83 【皇太后宮大夫俊成】
世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる

「ったぁ…!!」
「我慢しろ、自分が作った傷だろ」
クナイで切り付けられた傷に消毒液をだらだらと流す。
「そ、そーなんですよねー…ハハ…」
傷が痛いのか顔を引き攣らせながら、aaaは手を握り締めた。
「いたい、なー…」
「仕方ねぇだろ」
ガーゼを押し付け、その上から包帯を巻く。
(最近、傷ばっか付けてる…だらしない…)
忍の世ではいつも傷だらけ。
しかし来るもの拒まず去るもの許さずで、aaaは右往左往するばかり。
死ぬのが怖くて、生きるのがだらしなくて。
どうしたらいいかわからなくて。
山の方から鹿の鳴き声が聞こえた。
「……っ」
「まだ中忍だろ、無茶して追いつこうとすんな」
ゲンマの声に上を見上げると、ゲンマの顔があり、頬にキスを送られた。


84 【藤原清輔朝臣】
ながらへば またこのごろや しのばれむ 憂しとみし世ぞ 今は恋しき

「……ゲンマさん」
「ン?」
「いえ…」
ぱらりとめくったアルバム。
過去のゲンマとaaaが笑いかけている。
「大変だったなぁと、思いまして」
「今も、だろ?」
立て続けの仕事から久々の休暇。
ゲンマと二人、やっと過ごす休日。
「いえ、そうなんですけど……ほら、去年は結婚のことで大変でしたし」
去年は結婚のことで両親と揉めてしまい、揚句の果てに駆け落ちをしてしまうところだった。
「でも、幸せだったなー」
ゲンマの愛を感じられたから。
「なら、いいんじゃねえ?」
「ですねー」


85 【俊恵法師】
夜もすがら もの思ふころは 明けやらで 閨のひまさへ つれなかりけり

「はぇー…」
窓から月を眺める。
テーブルに肘をついてイスに座る体勢。
「……」
好きな人がいる。
まだ、告白していない。
(声、かけられちゃった…)
昼間、任務の帰りに火影のところに寄ると丁度ゲンマがいた。
『任務か?』
『…あっ、は…はい』
『そうか、お疲れさん』
嬉しかった。とても。
「はぁ…」
思い出すと、またドキドキし始める胸の高鳴り。
(……寝よ)
かたん、と音を立ててイスから立ち上がり寝室のベッドに潜り込んだ。
まだドキドキする。
(眠れない……)
まだまだ明けない夜をじれったく思った。


86 【西行法師】
嘆けとて 月やはものを 思はする かこち顔なる わが涙かな

「っえ……く、…ふぇ…」
暗い夜の中、嗚咽する。
はかなく光る月が悲しい。
歪む表情。
「やあぁ…っ!」
悲痛な叫び。
泣いてしまうのは、窓から覗く月のせいではない。
茶髪で金の瞳の男。
心を惹かれていた。
しかし偶然にも見てしまった。
彼の隣に佇む、綺麗な女性を。


87 【寂蓮法師】
村雨の 露もまだひぬ 真木の葉に 霧立ちのぼる 秋の夕暮

ざあざあと降っていた通り雨が上がった。
大木の下で雨宿りをしていた二人。
「わぁ……ゲンマ、見て…」
「?」
声を掛けたaaaの指差す方を見てみると、そこには木の葉についた水の玉。
「きれいだと思いませんか?」
「あー…」
「ですよねー…。帰りましょうか」
ポケットに入れられた方のゲンマの袖を掴む。
ゲンマはポケットから手を抜き、aaaの手は握られた。
「ん」
落ち葉をざくざくと踏み締めて里に帰って行った。


88【皇嘉門院別当】 * R指定
難波江の 芦のかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや 恋ひわたるべき

「っあ…ん、ひ…」
「声出したかったら、出しとけ」
す、と撫でられた唇。
「や、だ……」
ぷい、とそっぽを向くと、ゲンマは仕返しとばかりに腰を穿つ。
「ッあぁ!」
びく、と震えた体。
絶頂を感じた。
「は……っはぁ」
ふと思い出した彼の言葉。
『今日だけ、付き合え』
一夜かぎりの――。
本当は好きだった。
愛していた。
しかしフラれた時の悲しさを味わうなら、とこちらの道を選んだ。
(……これで、いい)
はずなのに、涙が溢れそうで。
ただひたすら、堪えていた。
(それでも……それでも、あたしは…)


89 【式子内親王】
玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの よわりもぞする

馬鹿みたいだと蔑むがいい。
(……)
鮮やかな着物に綺麗な羽織り。
それを翻して、aaaは廊下を通った。
「お久しぶりです」
茶色の髪に金の瞳。
忍のマーク。
分厚いベストを着た彼。
「はい……お久し、ぶり、です」
赤くなる顔を見せまいと俯く。
「父はまだ、帰ってきておりませんから……ゆっくりしていって下さい」
忍の世と関係のある父。
時々やって来るゲンマという名の忍。
aaaは名の高い家系の娘だった。
許されない恋。
(わたしは、ゲンマさまを、)
ゲンマに精一杯の笑顔を見せ、「失礼します」と告げて去った。
「……っ、駄目よ」
ゲンマさまにも両親にも迷惑をかけてしまうから、この気持ちを無理矢理押し付け続けた。
しかし、それももう、今日の再会で抑え切れなくなってしまった。
(今日のゲンマさま、いつもより格段に素敵でしたわ…)
部屋にある棚の二段目を、そっと開けた。
銀に煌めく――。
「もう、無理です」
ざくん、と切った首筋。
障子に散った血が、勢いを物語る。
力の抜けた膝から、畳に崩れ落ちた。
その音を聞いた侍女がやって来た。
薄れゆく意識の中、悲鳴がaaaの耳を掠った。
「aaa!?」
瞬時に駆け付けたゲンマを虚ろな瞳が写した。
そうして、aaaは微笑んだ。
(ゲンマさま…、あいして…おります)


90 【殷富門院大輔】
見せばやな 雄島のあまの 袖だにも ぬれにぞぬれし 色はかはらず

「もう、泣き止みなさい」
「だってぇえー」
ひっく、ひっくと泣きながら紅に抱き着くと、ぽんぽん、と背中を摩ってくれた。
昨日の風景。
飲み会があると告げられ、家にいたけれどたまたま卵を買いに行った帰り。
ゲンマが女性を連れて歩いていた。
ゲンマは腰に手を回し、女性はゲンマに絡み付いていた。
「もう…やだ…」
ショックだった。
これで何回目だろうか。
ぐしぐしと袖で涙を拭うと、その袖は涙で色褪せていた。
「大丈夫よ、出来心ってやつだから」
「ホントかなー…」
しゅん、と肩を竦めていると、携帯が光った。
「ほら、出てあげな」
「……ん」
ぱか、と携帯を開いてaaaはボタンを押した。






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -