恥ずかしいから好きは言わない。


背中にキス


真夜中、キッチンで明日のご飯の仕込みをするサンジの背中を見つめる。
「サンジ…」
「ん?どしたの、aaaちゃん」
大きな背が、優しい声を掛けてくる。
「何?……眠い?」
くるりとサンジが振り向くと、金の糸がさらさらと舞った。
胸がドキドキする。
「…っ、なんでも!」
ふい、と恥ずかし紛れでそっぽを向くと、サンジはくすくすと笑った。
(バレてる…!)
サンジに見惚れてることがバレてる、と思いながら視線をサンジに戻すと、サンジは仕込みが終わったのか、使った道具を洗い、片付けている。
(もう…かっこよすぎて…)
サンジの行動の全てが格好良い。
aaaはイスに座り、足をぶらぶらさせてサンジを見つめる。
サンジが微笑んでいることに、aaaは気が付かない。
「……ちゃん、aaaちゃん」
「えっ、な、なに」
aaaが我に返ると、サンジが目の前にいた。
「終わったよ、何か飲む?ミルクティーとか…それとも酒がいい?」
「おっ、お気遣いなく!」
ぱたぱたと手を左右に振ると、サンジは向かいの席に座った。
「aaaちゃん、さ……」
「…うん?」
「おれのこといっつも見てるよね、そんなにかっこいい?」
にこにこ、と笑いながらサンジは軽く話し掛けてくるが、aaaにとっては何を言っていいのかわからない話題だった。
「え…っと、ご、ごめん…?」
「え?なんで謝るの?」
「へ?えーと、えーと…っ」
慌てるaaaに、サンジは微笑んだままテーブルを挟んだaaaの頬に手を伸ばした。
「…誘ってるように見えるよ」
に、と笑ったサンジはいつになく魅力的だった。
「…っ、ばか!」
「ほんとのことだから」
「そんなんじゃ…ないもん」
aaaは唇を尖らせる。
怒っているポーズだ。
「ごめんね、怒らないで、PRINCESS」
aaaの手を取ると手の甲にキスをしたサンジは、上目遣いで困ったように笑った。
「……サンジ」
「ん?」
aaaはガタンと音を立ててイスから立ち上がると、サンジを見遣った。
「一緒に…寝よ…?」
だんだんと赤くなる顔を両手で押さえる。
頬が熱い。
「…うん」
サンジの顔も、ほんのり赤かった。

他のクルーが使っておらず、なおかつベッドがある場所とは言わずもがな倉庫だ。
ベッドとソファ、そして他の使う用途のない道具類が置いてある簡素な部屋。
サンジはaaaをベッドへと押し倒すと、埃が舞った。
(…そんなに使ってなかったっけ?)
綺麗とも汚いともつかない部屋だから、ゴミや埃が溜まってもよくわからないし、第一掃除する人がいない。
「…サンジ、何考えてるの?」
「aaaちゃんのことに決まってる」
サンジはaaaの服を開けさせた。

熱い温度を保ったベッドの中に二人。
「ねぇ、aaaちゃん、愛してるよ」
ふに、と柔肌を撫でながらサンジが言う。
「…うん」
こんな行為をした後で恥ずかしがるのもおかしいが、aaaは顔を枕に沈めた。
「…おやすみ」
サンジはそんなaaaの頭を撫でて、背を向けた。
aaaがちらりとサンジの背中を見ると、綺麗な白い肌と逞しい背骨がある。
「サンジ…」
するするとサンジの背中を触る。
唇を寄せると、ちゅうとキスをした。
「もう…aaaちゃんクソ可愛いよ」
サンジはぐるりとaaaの方に向き直り、aaaを抱きしめた。
「今度は唇がいいな」
「恥ずかしいから、やだ…」
「えー」
サンジは困ったように笑い、自分からaaaの唇にキスをした。

言える時に「好き」って言うから、それまでは「背中にキス」で許して?



〇Message
雛さんに相互記念!
相互ありがとうございます!
これからよろしくお願いします!!



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