エプロンの似合う男

ピンポーン。
妙に騒がしい部屋に、チャイムが響いた。aaaは慌てて玄関に向かう。

「はいはーい。どちらさ、ま…イルミさんじゃん」
「…ヒソカいる?」
「うん、いるよ、ヒソカー」

aaaがキッチンに向かって、大声でヒソカを呼んだ。ヒソカがしばらくしてやって来た。

「イルミ、来るなら連絡くらいくれよ」
「悪い…って、ヒソカ、なんて格好してんの」
「え?」

紙袋を持ったイルミが見たヒソカは、エプロンを着ていた。しかもピンクの花柄。aaaが選んだものだ。それにしても、妙に似合っている。端正な顔立ちと高身長はここでもものを言わせていた。

「可愛いだろ?裸エプロンの方が良かったかな」
「寝言は寝てから言えば」
「……」

イルミの鋭いツッコミに、ヒソカは少し顔を曇らせた。aaaはそれを感じ取り、イルミを中に招いた。


ヒソカはキッチンに行き、料理を続ける。イルミは了承を得ることなくソファに座ると、足を組んだ。aaaは紅茶を用意し、イルミの前に置いた。

「何の用?金は振り込んでくれって頼まなかった?」
「言ってたけど、渡したいものがあったから、ついでに来た」
「……あぁ、そう◆」

イルミは紅茶を一口飲むと、テーブルに紙袋に入った大量の札束を置いた。こんなにぞんざいに扱われた金を、aaaは初めて見た。ついでに、ある箱をテーブルに置いたイルミ。

「すご……、このお金、どれくらいあるんですか?」
「5000万ジェニーじゃなかったっけ」
「ご…5000万…」

aaaは感嘆の声を上げながら、紅茶を飲んだ。ヒソカがちょっとやばい仕事で稼いでいることは知っていたが、現金を見ると、ヒソカとイルミの凄さがわかる。

「……俺もう帰る。用済んだし」
「あ、は、はい」
「紅茶、おいしかったよ」

窓をひょいと飛び越え消えたイルミ。aaaは手を振りながらも呆然としていた。

「……イルミさんって変な人」
「しょうがないよ、だってボクの友人だよ?」
「ふ、自分で言うんだ」

ヒソカは紅茶のカップを回収し、シンクに置いた。そのままカップを洗う。

「あ、aaa。そろそろご飯出来るよ◆」
「ハーイ。…ねぇ、ヒソカ、これ何?開けていい?」
「ん?あぁ、開けてもいいよ」


札束が大量に入った紙袋の横に置かれた長方形の小さい箱を拾い上げたaaa。振ってみると、カタカタと固く薄いものが箱に当たる音がした。ヒソカに了承を得ると、aaaは箱を開けた。

「トランプ?」

箱の中には、一枚のトランプ。ジョーカーだ。

「うん◆ 仕事で使って、忘れてたんだけど……これ、aaaがくれたトランプだろ?イルミに取ってきてもらったんだ。まぁ、イルミが来るまで忘れてたんだけど」
「う、嬉しいような悲しいような…」

ヒソカが物に執着するって、意外だ。いくら私があげたからって、なくしちゃった、で済むのに。なんか急にヒソカが愛おしくなってきた。

「ヒソカ、ありがと」
「ン?何が?……さぁ、ご飯だよ◆」
「…うん。ヒソカのご飯っておいしいよね。なんでも出来ちゃうんだね、ヒソカは」

ヒソカは似合っていたエプロンを脱ぐと、イスにかけた。
aaaはヒソカが作ったポテトサラダを食べた。ヒソカは自分が作った料理には手を出さず、ビールを飲む。

「うん◆ でも理想は、夫婦の共同作業だよ。セックスだけじゃなく」
「…私が出来るの、お風呂洗いくらいだよ」
「料理はボクが教えてあげる◆」

ご飯を食べ終わると、二人で一緒に食器を運んだ。


〇Message
みどりさん、141000hitキリリクありがとうございます
イルミを登場させたものの、ヒソカが主夫といういらない設定まで付けてしまって、嫌だったらすいません
14万とは、夢のような数字なので、本当嬉しく思ってます
これからも何卒よろしくお願いします


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