「ヒソカってピアスしないよね」
「ピアスホール開けてないからね◆」
aaaがヒソカの耳を見つめながら聞くと、ヒソカはトランプをいじりながら答えた。

ある日の休日

「開けないの?」
「開けなくちゃいけないかい?」
トランプタワーの三段目を完成させたヒソカがaaaの方を見て言った。
「ヒソカが開けたら…、私も開けようと思って…」
aaaはヒソカの耳たぶを触った。
やわらかい。
「したいのかい、ピアス」
「……好奇心」
「そう◆」
ヒソカはくすぐったそうに笑って、またトランプタワーを作り始めた。
「…しない?」
aaaがトランプを数枚ヒソカのもとに置いてから、シャッフルを始めた。
「んー……耳じゃないと駄目かな」
「ほかにどこにするの?」
aaaはトランプをいじるが、ヒソカのようにうまく出来ない。
「乳首とか、どうかな◆」
aaaは一瞬固まって、それからトランプタワーを殴りつけた。
トランプタワーはばらばらと床に崩れ落ちた。
「……ヒソカがしたいならすれば?私は耳にしかしないけど!」
「aaaも一緒にやろうよ◆ お揃いにしよう」
ヒソカがにやりと笑い、aaaににじり寄る。
「するかぁ!勝手にやれ!」
aaaは後退りをして、しっしっと手を払った。
「乳首が駄目なら、もっと下とか、どう?」
ヒソカはaaaの手を掴んで引き寄せた。
aaaは抵抗を見せたが、強い力で抱きすくめられ、すぐにやめた。
「下って…へそ…とか?」
aaaがヒソカを見上げながら問う。
「もっと下◆」
ヒソカが狂気じみた顔をしてaaaに囁くと、aaaの顔が一気に赤くなった。
「ばかっ!サイテー!!」
「これだけでわかるキミもキミだけどね」
くっくっと笑ったヒソカ。
「だって、そんな…そんな、もう、するとこひとつしかないじゃん!」
耳たぶのようにピアスのしやすい下半身の部位といえば、限られてくる。
aaaが想像したのは局部の――。
「そうだっけ?」
「しらばっくれるなー!」
ヒソカはaaaの服に手を侵入させるも、aaaの抵抗を受けたので、諦めて抱きしめるだけにした。

「…ヒソカって、そういうところにピアスさせたりとかするけど、…Sなの?」
「そうだよ◆」
ヒソカとaaaはばばぬきをしていた。
「当然!みたいな顔されても……。Mじゃないの?」
aaaは眉をひそめた。
「……どっちも、かな」
ヒソカは少し悩んでから答えた。
「へー…じゃあさ、Sの人でもMの人にでもいんだけど、聞きたいことがあります」
aaaは床に寝転びながら、ヒソカの持つトランプから一枚だけトランプを引いた。
ジョーカーだ。
「なんだい◆」
ヒソカはaaaがしかめた顔をしたのに気が付き、気付かれないように笑った。
「…………………、ノーマルでも大丈夫なの?」
長い沈黙の後、aaaの口から吐かれた台詞に、ヒソカは目を丸くした。
「…うん、ノーマルでも大丈夫だよ◆ aaa、ボクの心配をしてくれたのかい?嬉しいなぁ」
「いや、心配とかじゃないけど……。Sにはノーマルじゃ駄目とかいう人多いらしいから……ヒソカがそうだったらめんどくさいなっていう自分の心配だよ」
ヒソカがaaaのトランプを引くと、同じ数字のものがあったので床に置いた。
ヒソカの手札はあと二枚。
aaaの手札はあと三枚。
「なんだ……ボクの心配じゃないのか」
「そうだよ。残念?」
「うん、残念」
aaaがヒソカの手札から一枚引くと、揃った数字のカードを捨て、aaaの手札はあと二枚。
ヒソカの手札は、あと一枚。
「…………………ん?ノーマルでいいんだったらピアス強要する必要とかなくない?」
「馬鹿だなぁ、aaaは◆ ノーマルでも、いいんだよ」
でも、を強調してヒソカは答えると、あらかじめ血を付けておいたジョーカーではない方のトランプをaaaが抵抗するのも気にせずに引いた。
ヒソカは揃ったトランプを床に置いた。
aaaが床をだんだんと叩く。
「ずっとノーマルでいろ!」
aaaがヒソカに向かって叫んだ。
「ボクの気分によるなぁ。今はもちろん、Sな気分◆」
くっくっ、と喉を鳴らしたヒソカはaaaの手を捕らえた。
「ノーマルでお願いします…」
「駄目◆」
がばっとaaaに襲い掛かるヒソカはすっぱりと断った。


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