鈴音さんリクエスト


「ん、aaa……、aaa?」
ヒソカが夜ふと起きると、いつも横にいるはずのaaaがいなかった。


美しい脆弱


ヒソカは感覚を家中に張り巡らせたが、家の中には誰もいないようだ。
ベッドから起き上がり、髪を整えながら、行為の後すぐ寝てしまったため裸だったのでベッドの側に投げ捨てられていたシャツを着た。
ふらふらと冷たいフローリングを歩き、そのまま家を出た。
道沿いに歩き、明るい街灯の下を歩いていくと、道のずっと先に人影が見えた。
aaaがいなくなったことで不安定になった感情が殺気として表れ、ヒソカは奇術でトランプを出し、歩いてくる人に飛び掛かった。
びゅう、と風を切って、ヒソカが腕を振るう前に、その人物はヒソカを見て目を丸くした。
「…ヒソカ、」
ヒソカは腕を宙で止め、その人物を見つめた。
「…aaa」
ヒソカが襲い掛かった人物は、ヒソカが探していたaaa本人だった。

「こんなとこで、こんな物騒なもの持って、何してるの?」
aaaは言いながら、ヒソカの持つトランプを奪った。
「…キミを、探してたんだ。どこに行ってたんだい…?」
ヒソカの質問に対し、aaaは手に提げていた袋を見せつけた。
「コンビニ。急にお酒飲みたくなっちゃって、チューハイ買ってきた」
「…ボクを置いてどこかにいくなよ」
ヒソカはaaaの手を掴むと、aaaを引き寄せた。
「だって、寝てたじゃんか。ヒソカ」
「起こしてくれたら…」
「ヒソカ、あんまり寝ないんだから、わざわざ起こさないよ」
ヒソカの掛け違えられたシャツのボタンを直し、aaaはヒソカから離れた。
「…だめ」
aaaはヒソカの腕を引いて家に向かう。
「ヒソカは、急にいなくなったりするのに?」
ヒソカの重い腕を引っ張り、aaaは振り返らず問うた。
「ボクはいいの」
「ヒソカ、わがままだね」
aaaはヒソカの腕を掴む手に力を込めた。
常人だったら痛がるレベルだ。
「aaa、ボクを……一人にしないでほしい…」
ヒソカの声が震えているのがわかり、aaaはまさかと思い振り向いた。

街灯に照らされ光る涙がヒソカの瞳からぽろぽろと落ちていた。
美しい、なんて美しいんだろう。
まるで彫刻のようだ、なんて、私はそんなに芸術に精通していない。

「…お願いだよ。ボクは、もう、一人じゃ無理なんだ」
ヒソカは泣きながら、aaaを腕の中におさめた。
今度は離してくれなさそうなくらい、力が強い。
「…ヒソカはいつからこんなに弱くなったの?」
「…キミを好きになったときから」
「そう」
ヒソカはすんすんと鼻をすすりながら、aaaの肩に顔を埋めた。
「……ごめん。今度から、起こすから」
「…ありがとう◆」
ヒソカが、ふ、と笑って、aaaの額にキスをした。
涙は止まっていた。

「ヒソカ、一緒に飲もっか」
aaaはチューハイの缶数本がぶつかり合ってガンガンと鳴る音を聞きながら、ヒソカを見た。
「…そうだね◆」
「…チューハイしかないけど、許してね」
「ン。キミとだったら、なんだっていい」
ヒソカは握っていたaaaの手の甲にキスをした。


〇Message
鈴音さん、79000hitキリリクありがとうございます
リクエスト内容は「泣くヒソカ」でしたが、どうだったでしょうか
ヒソカが弱いかな、と思いながらも楽しんで書いたので少しでも気に入っていただけると嬉しいです
79000hitありがとうございます!


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