旧短編 | ナノ


※天使シリーズ、天使の梯子の続き(短編でも読めます)
※現代パロディ



「おれが……aaaを守る」
両親を失ったaaaは、昔から仲のよかったサンジと一緒に過ごすこととなった。


天使の葬列


「……ふぁ、さむ…」
はぁ、と息を吐くと息が白くなる。
「そりゃあな、カナダだし」
「なんか…こう…実感湧かないね」
「そう?おれはクソ嬉しくってたまんねぇけど」
サンジとaaaはめでたく結婚し、今は新婚旅行でカナダに来ている。
aaaがオーロラを見たいと言ったからだった。
(寒いの嫌いなくせして…)
分厚い上着を着ていても震える体を抱いて、空を見上げるaaaの鼻が赤い。
「aaaちゃん…」
「ん?」
振り向いたaaaが、サンジを見つめる。
「……いいや」
キスをしようと思ったが、それで見逃してしまうとaaaに怒られてしまうからやめておく。
「ね、サンジ。見れるかな、オーロラ」
子供のように目を輝かせ、笑うaaaを見て微笑んでしまう。
「見れるだろ」
サンジは頬を緩めながら、aaaにそう言った。
オーロラは天候や気候で見れる時と見れない時がある。
今日のこの天候はくもりで、オーロラが見えないかもしれないと言われていた。
けれどaaaは1時間ほど外に出たまま空を見ている。
(…信じてるんだろ?オーロラが出ること)
「!」
後ろから声がして振り返ってみるとガイドの人がいた。
「サンジ、どうしたの?」
「寒いから中に入ったらって。オーロラが出たら教えるって」
aaaの冷たい頬を撫でると、その頬が膨らんだ。
「やだ!一番最初に私が見るの!」
「…わかった」
ふに、とaaaの頬を押すと空気が抜けていった。
ガイドに説明すると、ガイドがコーヒーを持ってきてくれた。
「あったかい!ありがとう!」
「Thank you」
お礼を言うとガイドは微笑み、建物の中へと入っていった。
「寒かったら言えよ?」
「…ん」
aaaはこくりと首を縦に振った。

「おれ、絶対aaaのこと守るって決めたんだ」
「…サンジ」
「今も、これからも…。結婚したらずっと一緒にいれるしな」
に、とサンジが笑うと、aaaの頬が真っ赤に染まった。
「なんでこんな時に!恥ずかしいでしょ!」
サンジを叩くaaaは、恥ずかしそうに、気まずそうにサンジの顔を窺っている。
「こんな時だからこそ、だろ」
aaaの手を引いて抱きしめ、胸におさめる。
aaaは少し抵抗をみせたものの、サンジが抱く力を強くすると、aaaはサンジの背中に手を回した。
「……もうっ」
ぶつぶつと呟くaaaの頭を胸に押し付け、ぼふぼふと叩く。
これでaaaは何も言えない。
「うー!」
「何言ってるか、わかんね」
冷たい服越しにaaaを抱きしめる。
「うぅー!!っぷは!」
どん、と力強くサンジの胸を叩くと、やっと力を緩めた。
そしてaaaが頭を上げると、空には一面の――。
オーロラ。
「これが……オーロラ」
色のついた透明のカーテンが空を舞っている。
虹色に光るオーロラに、サンジもaaaも驚きを隠せない。
「今日は…見れないかもって言ってたのに…」
「aaaの両親が……見せてくれたのかもしれねぇな」
ふ、とサンジが笑うと、aaaはしっかりとオーロラを見ながら涙ぐんだ。
(お父さん、お母さん…ありがとう!!)
口元を手で覆い、ぽろぽろと涙を流すと、サンジがaaaの頭を優しく撫でた。
「うっ、……ふぅっ…」
声を押し殺すaaaの手を握り、サンジはオーロラが消えるまで見続けた。
「aaa、綺麗だな」
「…うんっ!」

そう、それはまるで誰かを見届けるように、空を流れる――。
天使の葬列。



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