旧短編 | ナノ



「サンジなんか嫌いよ!」
浮気疑惑に怒ったのもあるけど、今日はエイプリルフール。
女の子にへらへらしてるサンジにはちょっとしたお仕置きをしてあげるんだから!


もほどほどに


キッチンのテーブルで頭を抱えるサンジを呆れたようにナミとウソップが見遣る。
ナミは溜息を吐いてから、サンジに声をかけた。
「aaaちゃんに……aaaちゃんに怒られたんだ!!」
くわ、と一大事でもあるかのごとく声を荒らげたサンジに、ナミはくだらないと愚痴を零した。
「aaaが怒るなんていつものことじゃない」
「いや、そうなんだけど……いつもとは違う怒り方だったんだよ!」
「いつもとは違うだぁ?どういうことだよ」
ウソップが割って入る。
「いや、いつもなら謝れば許してくれるaaaちゃんがよぉ……謝っても、何言っても聞いてくれなくって……口も聞いちゃくれねぇ」
サンジは困ったような顔をする。
「……愛想つかしたんじゃない?」
浮気性も治りそうもないし、とナミはサンジの肩を叩くとキッチンから出ていった。
「ナミの言うことも一理あるが…やっぱり変だよな。今日って何の日だったかな」
頭を傾げ、考え始めたウソップ。
それと同時に、部屋にaaaが現れた。
「ウソップー!!ちょっと来てー」
「うおっ!aaa!?」
サンジとは口も聞かず、aaaはウソップを引っ張り出した。
甲板に出たaaaはウソップに何かを渡している。
その様子を、開け放たれたままのドアから見ていたサンジは胸がズキンと痛んだ。

お昼前、まだ昼ご飯には早い時間。
心晴れぬサンジは船内をぶらぶらと歩いていた。
すると、ぼうっとした視界にaaaを捉えた。
「あ…、aaaちゃ……」
「ゾロー!」
声をかけようとしたサンジは、aaaの大声によって阻まれる。
「aaa…ちゃん…?」
ゾロに飛び付くように側に寄ったaaaの笑顔は、いつもはサンジだけに見せる満面の笑み。
サンジは唇を噛み締め、涙が流れるのを抑えた。

日付が変わり月が光っている夜、サンジはキッチンで明日の仕込みをしていた。
この時間は誰にも邪魔されない、自分だけの空間。
ぐつぐつとスープを煮詰めていると、キッチンのドアが開いた。
「……aaaちゃん」
普通ならもう寝ているはずのaaaの姿がそこにあった。
「…もう日付も変わったし…寝ないと明日起きれないよ?」
どうせ何も言わないだろうけど、と心の内で思いつつ、サンジはaaaに忠告する。
「だから…日付が変わったから来たのに……追い出すの?」
背を向けていてaaaの表情がわからなかったサンジは、aaaの声でaaaが涙ぐんでいることを知る。
「aaaちゃん…?」
サンジは思わず振り返ると同時に、aaaがサンジに抱き着いた。
「サンジくんなら気付いてくれると思ったのに!!鈍感!」
ぎゅう、と腕の力を込めるaaaの態度は半日前のことが嘘のようだ。
「…なに…が?」
「もう!私は昨日ウソップに何してたの?見てたんならわかるでしょ、PRINCE!!」
叫ぶaaa。
サンジが昨日のことを思い出す。
(昨日?…そうだ…ウソップにプレゼントを渡して……ウソップに、プレゼント?)
は、とやっと気がついたのか、サンジは大きな声でこう叫んだ。
「エイプリルフール!」
「あたりっ!!サンジくんが嫌いなのは嘘だからね!」
一気に笑顔になったaaaは、サンジの頬にキスをした。
「……そうか、だから…ウソップにプレゼント………おれへの当てつけかと」
「それもあるよ。浮気疑惑に怒ってたのは本当だし…」
俯くaaaを抱き返すサンジ。
「悪ィ…、あれは謝る」
「私もごめんね。ゾロのは悪いかなって思ったから…」
お仕置きしすぎちゃった、と苦笑する。
「あれ…ほんとにヘコんだ…」
目を合わせた二人は、どちらともなく唇を交わす。
「…サンジくんなら気付いてくれると思ってたのに」
「悪ィ、aaaちゃんにきつく怒られておれもまいっちまってよ」
頭をがしがしと掻くサンジ。
「……そのせいで…ウソップの誕生日パーティー…という名の宴が開けなかったけどね」
「……は?…っあー!!忘れてた!」
「だから明日やってねってウソップが」
にこ、とaaaが笑うとサンジもつられて笑った。



〇おまけ
「aaaがいないと駄目ね、いつもはすましてるPRINCEも」
「ふふ…、可愛いじゃない」
「おれのパーティーはちゃんと開かれるのか?」
「大丈夫みたいよ」
「…よかった。昨日はおれの誕生日だったのにとばっちり受けちまったし、今日はおれ様が主役だからな!」
「はいはい、わかってるわよ」


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