旧短編 | ナノ



「はっ、初めまして!!aaaです。よろしくお願いします!」
「よろしくね」
そう言って返事をした金髪の男に、aaaは一目で恋に落ちた。


ハートフルにkissする秒前!


サンジとは仲間という枠組みで一緒にいる。
だから仲が良いのは当然で、恋愛感情というものは持ち合わせていない。
サンジは。
aaaの方はそういうわけにもいかない。
一目惚れというのは、仕方のないことだ。
(はー……今日もイケメンだなぁ)
サンジに恋い焦がれて溜息を吐くのは最近からのことじゃない。
(あ…キッチンから出てきた…。おやつかな)
ぼーっとサンジを眺めるaaaは、ハリケーンのごとく近寄ってくるサンジに意識が行き届かない。
ただ、サンジを見つめるだけ。
(サンジくんが近づいてくる…近づいて……え!?…近づいてくる!?)
は、と気がついた頃には、時すでに遅く、目の前にサンジの美しい顔があった。
「っ!!」
aaaは顔を真っ赤にさせて、勢いよく後退りをした。
「すみません、PRINCESS。驚かしてしまって」
微笑みながら謝るサンジ。
「あ…いや…、サンジくんが…悪いんじゃないから…」
どもるのはaaaの悪いクセだ。
「どうぞ、今日のおやつはチェリーパイのクリーム添えです」
サンジは今日のおやつをaaaに差し出した。
今日も綺麗な仕上がりで、食も芸術のひとつ、という感じだった。
「あ…っ、ありがとう。いただきます」
「どうぞ」
サンジは笑って、aaaの頭を撫でてキッチンに戻っていった。
「……」
皿にのせてあったフォークを手にとり、チェリーパイを一口食べた。
「……おいし」
また一口、と何度も口に放り込み、チェリーパイを簡単に平らげた。
ナミやロビン、他のクルー達の皿とフォークを、キッチンに持っていく。
「…サンジ…くん」
「あ、aaaちゃん」
扉を開くと、サンジが優雅に紅茶を飲んでいた。
「みんなの分も持ってきてくれたんだ、ありがと」
とん、とティーカップをテーブルに置くと、サンジは立ち上がりaaaから皿を受け取った。
自然と、手が触れた。
「重かっただろ?座って?紅茶いれるから」
と言って、サンジは紅茶をいれている。
サンジに皿を渡した時に当たった手が、熱い気がする。
aaaはサンジが座っていたところの隣に腰を掛けた。
「はい」
にっこり笑顔でaaaの前に置かれた紅茶。
「ありがとう」
精一杯の笑顔でaaaは返した。
サンジはaaaの隣に座った。
(う…うわ…、やばい……サンジくんが隣に…!!)
緊張で手が震えて、うまく紅茶が飲めない。
紅茶の香りも味もよくわからない。
(ひ、…ひえー!)
aaaはテンパっていた。

一方、サンジはaaaを横目で見つめながら、心の中で微笑んでいた。
(緊張してる…、かわいっ)
触って、抱きしめてやりたい衝動を理性が抑止する。
「……aaaちゃん、あのさ」
aaaの目を見て話すサンジ。
「えっ!?」
aaaの顔は赤い。
「良いニュースと悪いニュースがあるんだけど」
「へ!?なに!?」
焦りながら聞くaaaは、内容が本当に大変なことのようだと思っているようだ。
「聞きたい?」
こくこくと頷くaaa。
「良いニュースからね。……おれね」
「うん」
ごくり、と唾を飲むaaaの表情は真剣だ。

「aaaちゃんのこと、好きなんだ」

急な告白に、aaaは固まったまま動かない。
しかし、サンジは続ける。
「悪いニュースはね……」
に、とサンジは笑うと、aaaの頬を両手で包み込んだ。
「このままだと、おれaaaちゃんを押し倒しちゃいそうなんだよな」
目を細めたサンジは、寂しげな顔をした。
aaaはそれを見ると、我に返り、口を開いた。
「あ…わた、しも、好き!…です…。でも今から、えっちは…ちょっと……無理です、ごめんなさい……」
ごにょごにょと後半がうまく言えず、aaaは恥ずかしさで死ぬかと思っていた。
(ひー!勢いで何言っちゃってるんだ私…!!)
「それって…ホント?」
「は……はいぃ!」
目をかたく瞑りながら、aaaが返事をすると、サンジが目を開けてと呟いた。
「何もしないから…ね?」
甘い響きが脳に伝わる。
aaaが恐る恐る目を開けると、鼻と鼻がぶつかりそうなほどに近かった。
(ひょわぁああ!!)
aaaは意識を失いかける。
「aaaちゃん!」
「はうっ!」
サンジの声によって現実に引き戻された。
「……大丈夫?」
「…は…はい」
すーはー、と何度も深呼吸をすると落ち着き、状況を飲み込める状態になってきた。
「……押し倒す代わりに…、キスしていい?」
「はっ…はい!」
緊張で声が裏返ってしまったaaa。
サンジは口の端を上げて、ゆっくりと近付いてきた。
「目…瞑って?」
サンジの声に酔ってしまったのか、従順にaaaは目を閉じた。
「サンジ、くん…」
「大丈夫、クソ好きだ…」
頬を右手で、後頭部を左手で添え、サンジはaaaの唇に近付いた。
5、4、3、2、1、0―――。

二人の唇は、軽く、数秒の間だけ触れ合い、そして離れた。



〇おまけ
(押し倒すって簡単に言っちゃったけどプレイボーイって思われたかなー。キスしたかっただけなんだけど……確かに遊んだりしてたけど今はaaaちゃん一筋で…これ言ったほうがいいかな?)
(さすがに付き合って、というか告白してすぐにえっちは駄目だよね…、女として。遊び人だと思われちゃうし。…それにしても……サンジくんとキスしちゃった…はっ、はうー!!恥ずかしいっ!明日からどう接したらいいんだろ…っ)
「aaaちゃんっ」
「はいっ!」
「えっと……よろしく、彼氏として」
「!、……はい!」

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