旧短編 | ナノ


※現代パロディ(学パロ)



「ここ……どこ……!?」
入学早々、迷子になってしまうaaaであった。

迷子→恋愛


苦労して入学した麦藁学園。
入学式が終わり、下校時間になって、aaaはふと思い立った。
(…他の教室、先生も曖昧にしか教えてくんなかったし、校舎うろついてみよ)
かばんを教室に置いたまま、教室を後にした。

「んー…ここが美術室?」
ドアのガラスから中を覗くと、美術室らしい物々しい雰囲気がある。
「……で、こっちは、なにこれ?被服室?」
今度は窓から部屋を覗くとミシンなどがあった。
当たり前だが、被服室だ。
うろうろと校舎を縦横無尽に歩いていると、ふと気がついた。
(……ここ、どこ!?)
自分が迷子になっていることに。
おろおろしながら周りを見渡すが、教師たちの姿も見られない。
(どう…しよ…)
寂しさと不安で泣きそうになるのを抑え、取り敢えず歩いてみる。
廊下を歩いていくaaaは、ぴたりと足を止めた。
いい香りが、鼻腔をくすぐる。
aaaは匂いがする方へ足を進めた。
「……こっち?」
くる、と廊下の角を右に曲がると、一つのドアだけで行き止まりだった。
「ここ…」
上を見上げると、「調理実習室」と書かれてあった。
(…部活か何かかな)
そっとドアのガラスから覗いてみると、そこにはオレンジと黒のストライプのシャツにネクタイをした金髪の男が料理をしていた。
繊細な動きをする男の手がひらりと舞うと、いい香りが沸き立つ。
じゃっ、とフライパンから野菜と肉が飛び跳ね、まるで踊っているかのようだ。
aaaは男の動きに見入ってしまう。
何分か経った後、料理し終わったのか、フライパンにある野菜たちを皿に盛っている。
(またいい匂い…)
そろそろお腹の減る時間だからか、腹の虫が鳴っている。
お腹を押さえていると、ガラス越しに男と目があった。
「あっ…」
目が逸らせずにいると、男が手招きをした。
aaaは慌てて周りを見回しそして自分を指差すと、男は頷いた。
緊張で震える手をドアノブに添え、スライドさせた。
「…こんなところに、どうしたの?」
金髪の男は笑った。

「そんで…、おれが作った料理を平らげて、教室まで送ったんだっけ」
肘をテーブルにつき、手で顔を支える金髪の男、サンジ。
「もー…、恥ずかしいからやめてって!!」
サンジの隣に座り、サンジの体を揺さぶる女はaaa。
「…泣いちゃってたもんなぁ?aaaちゃんの泣き顔クソ可愛かったけど」
よしよし、とaaaの頭を撫でるサンジの手は、半年ほど前のこともあって、とても安心する。
「やーっ!言わないでよう!」
aaaはサンジに体を押し付けサンジの口を塞ごうとする。
しかしサンジがaaaの両手を握ってしまい、それは敵わない。
「だって……、こんな風に抱き着いてくれるの嬉しいんだもん」
サンジがぎゅうとaaaの体を抱きしめると、aaaも諦めたのかサンジの背に手を回した。
「私ね、あの時惚れたの」
「……おれも。一緒だな」
優しく抱くサンジに、aaaから唇を寄せた。
「大好き、サンジ」
「おう…」
サンジの手がaaaのリボンを解いた。
しゅるり、と音を立てたリボンはテーブルに蛇の道を作った。

カーテンがふわりと舞って、まだ少し冷たい風が、二人の肌に直接触れた。


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