旧短編 | ナノ


※現代パロディ(学パロ)
※サンジの目:黒



二月の初旬。
寒さも薄れてきた頃。
「おれ、aaaちゃんのこと好き、なんだ」
唐突な告白。
真っ赤になりながら承諾した。


はじめまして、


それから二週間が経ち、学校で一緒に過ごしたりすることにあまり違和感を感じなくなった。
今も、隣に王子様。
「それでさ…」
サンジが話していることも聞かず、aaaはじっとサンジを見つめる。
ガラス越しの太陽の光りがサンジを照らす。
(あ…、睫毛なが…。睫毛も金なんだ…)
睫毛に覆われた瞳の黒に映える金の睫毛。
aaaはそれに見入っていた。
「……aaaちゃん?」
見つめられていることに気が付いたサンジがaaaに声を掛けると、aaaの体は大袈裟に跳ねた。
「ひゃっ……、な、何?」
「…ううん」
サンジは見つめていたことに何も口を出さず、ただ微笑んだ。
「あ、今日一緒に帰れる?」
「あ…、うん」
最近、サンジと帰ることが日課になっているaaa。
「じゃあ、授業終わったら迎えに行く」
昼休みで人が少ないらか、教室の隅だからか、サンジは人目も気にせずaaaの頬にキスをした。
「…!!」
aaaの頬が、ぼっと赤くなる。
サンジがキスしたことは、教室にいる誰にも気付かれてはいない。
「それじゃあ」
サンジはaaaの頭を撫でて席を立ち、教室に戻っていった。
「…もう」
キスされた方の頬に手を宛てる。
誰にもバレないように、教室の窓の外を眺めながら、照れ笑いを浮かべた。

「aaaちゃん、帰ろ」
やっとのことで授業が終わり、かばんに教科書を入れていると、サンジが目の前に現れた。
教室内からきゃあきゃあと黄色い歓声が聞こえる。
「ま…、待って」
「うん」
慌てながらかばんに必要な教科書とノートを入れて、サンジと一緒に教室を出た。
いつもと同じ道を通り、家に着く。
「それじゃあ…ね」
サンジはaaaが玄関の扉を閉めるまで手を振った。
そして、サンジも自分の家に帰った。

夕方を過ぎ、夜の九時頃。
aaaは風呂に入り終え、髪を乾かし、自分の部屋で二週間後に迫る定期テストに備えるため、ベッドで寝転がりながら日本史の単語帳を眺めていた。
「…ん」
自分で煎れたミルクティーを飲む。
といっても市販の粉のミルクティーにお湯を注いだだけだけれど。
「…んむっ」
ごく、とミルクティーを嚥下する直前に、ローテーブルに置いてあった携帯が鳴り、光った。
そのせいでミルクティーを噴きそうになった。
「あ…、あぶな……、誰…?」
aaaは携帯を取り、携帯を開く。
画面には「サンジくん」の文字。
(な…なんで…?、早速別れようとか?)
顔面蒼白になりながら、aaaはメールを開く。
メールは「会いたい。家に行ってもいい?」と質素な内容だった。
(サンジくん…)
aaaは素早く文字を打ち、サンジにメールを返した。
「いいよ」という、これまた質素な内容だった。

数分後、ピンポーンと音が鳴った。
aaaはカーディガンを羽織り、素早く家を出た。
家族には「友達が来る」と言っておいたから、サンジに家族は見られていないだろう。
「サンジくん!」
玄関で手を振るサンジに、aaaも手を振り返した。
「aaaちゃん…、ごめんね、こんな時間に」
サンジはシャツに黒いコートを羽織っていた。
「…ううん、全然。でも、どうしたの?」
「うん…、急にaaaちゃんに会いたくなったんだよなぁ、それが」
眉を八の字にして困ったように笑うサンジ。
「…サンジくん」
そんなこと言われたら、愛おしくなる。
胸の奥がきゅんとなるaaa。
「…aaaちゃん」
「へっ?、あ、ごめんね、こんなので…」
aaaがじっと自分の服を見る。
「…何が?」
サンジはaaaの意図がわからず、首を傾げる。
「パジャマ…」
ダサいし、と呟くaaaの息が白い。
それに気付いたサンジはコートのボタンを外し、コートの中にaaaを入れ、そのまま抱きしめた。
サンジが着る黒コートにはaaaがいるわけだ。
「…サンジくんっ?」
aaaはサンジの胸に頬を押し付けたまま、名前を呼ぶ。
「寒いでしょ?」
にこ、と笑ったサンジ。
「パジャマ似合ってるから。クソ可愛いのなんの!」
胸におさまるaaaの頭に、ちゅっとキスを送った。
「あ、ありがとう…」

「aaaちゃん」
「ん…?」
「おれ…、もうどうしたらいいかわかんねぇくらいaaaちゃんを好きなんだ。でもこんなこと初めてで…どうしたらいいか…」
コートの中で自分を見上げるaaaの目を見つめるサンジ。
街灯に照らされたaaaの目はきらきらと光っている。
「……迷惑だよな」
重い、とサンジは自嘲した。
「サンジくん…、私も」
「……へっ?」
うっかり間抜けな声が出たサンジ。
「私も…すっごくサンジくんのこと好き。好きすぎておかしくなりそうだよ」
サンジの胸に耳を押し当て、鼓動を聞くaaaはそう言う。
「サンジくんだけじゃないよ…」
「……あぁ」
サンジはコートの上からaaaを抱きしめた。
「クソ好きだ、おれのPRINCESS」
軽くaaaの唇にキスをすると、aaaの顔が真っ赤に染まった。
「…その顔、クソかわいい」
サンジがaaaの背中に回した腕に力を込めた。

そのまま三十分ほど話した。
しかし、夜はまだまだこれからだ。



○おまけ
「aaaちゃんっておれが初めてなんだよな?」
「…うん、付き合うの初めて」
「あー…」
「…何考えてるの?」
(あんなことやこんなことが出来ちゃうなんて言えねぇ…)
「…サンジくん?」
「aaaちゃんの初めてをおれがもらえて幸せって、思って」
「…そう?」
(……よかった、バレてねぇ!)


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