旧短編 | ナノ


※現代パロディ(学パロ)
サンジ:化学教師


卒業シーズンと言われる三月は、卒業をしなくても自然に寂しさが積もるものである。


isラヴァー


「サンジ先生!」
「…ん?」
優雅に紅茶を飲むサンジと、サンジを睨むように見るaaa。
理科室のテーブルで二人は向かい合い座っている。
「私、先生のことが好きなんですよね!!」
「あー…、うん」
知ってるけど、と呟くサンジ。
aaaはサンジを見たまま、また口を開く。
「知ってるんだったら!、…………言って、ほし…で、す…」
だんだんと弱くなっていくaaaの声。
顔が紅潮している。
「何を?」
に、と意地の悪い笑みを浮かべるサンジ。
「えっ、と…、あの……」
どもるaaaは、目線を反らす。
「す…すき…、って言って…?」
上目遣い、紅潮した頬で、aaaはサンジに懇願する。
「よく言えました」
サンジはくすくすと笑いながら、aaaの頬を撫でた。
「…aaaちゃん」
「…はい」

「好きだよ」
サンジの笑顔が眩しい。

「……どう?」
「眩しいですっ」
ニヤける口元を隠しながら言うaaaは不自然だ。
「ふうん?」
サンジは気にせず、課題である化学のノートをぱらぱらとめくっていく。
「で、どこがわからないの?」
「ここです」
化学のノートを指差し、サンジがノートを覗く。
至近距離のサンジの顔に、aaaは魅了され胸の高鳴りは一層強まる。
(…美人。女の人みたい。爪も縦長で指は細いし、…睫毛長っ!!)
サンジをじっと見つめるaaa。
「…どうしたの?」
サンジがaaaの顔を窺う。
あと数ミリで鼻が当たる位置にあるサンジの顔。
「へ…っ!?」
ガタン、とイスが音を立てた。
aaaが慌てて立ったからだった。
「さっきからずっと見てるけど。おれ、そんなに格好よかった?」
に、と笑うサンジ。
「なに、自分で言っちゃってるの…」
「違うの?」
「違いませんけど!」
ふるふると首を横に振るaaa。
「格好よかったです…」
「うん。よく言われる。でもaaaちゃんに言われるのが一番嬉しい」
にっこり笑うサンジは、大人さながら魅力ある笑顔だ。
しかし、どこか、そう子供のような可愛さもある。
「……本当ですか?」
む、と顰めた顔のサンジに向けるaaa。
「…さぁね?」
「っ!」
「嘘だよ」
aaaは泣きそうになった自分を隠し、サンジをぽかぽかと叩いた。
「ひどい!」
「ごめんね」
サンジは得意な笑いを浮かべて、aaaの唇に触れるだけのキスをした。
aaaの頬がだんだん朱に染まっていく。
「…嬉しい」
サンジは目を閉じて、懐のタバコに手を伸ばした。

キーンコーンカーンコーン、と下校のチャイムが鳴る。
「あ…」
「……aaaちゃんは帰らなきゃね」
サンジはテーブルに広げられたノートや教科書を閉じていく。
「……」
「……明日も会えるんだから、そんな顔すんなよ」
不意に出るサンジの通常の喋り方。
寂しそうな表情のaaaの頬をサンジは撫でる。
aaaはその手に、自分の手を重ねた。
「…また、教えてね」
「…あぁ」
サンジが差し出した教科書とノートをかばんに入れる。
かばんはぎゅうぎゅうだ。
「…そろそろ、三学期も終わるね」
「そうだな」
「違う担当になっても教えてね」
「当たり前だろ」
夕焼けを映す窓を眺める。
青から赤へ、グラデーションが綺麗。
「ね…、もっかい好きって言って」
「は!?さっきも言ったじゃねぇか…って、しょうがねぇなぁ」
サンジはがしがしと頭を掻いた。
aaaの瞳が涙を溜めている。
どんなことを考えているにしろ、aaaの寂しさはMAXだ。

「好きに決まってる。どんな女性よりも、aaaを愛してる。クソ愛してるさ」

かばんを握り締めるaaaの手の力が強まった。
「おら、返事は!」
「は、はいっ!私も大好き!愛してます!!」
がばっ、とサンジに抱き着いたaaaは、密かにサンジの胸で涙を流した。



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