旧短編 | ナノ


※サッチ:料理人(コックさん)




「すっ、好きです!」
「…よい」


くゆる想ひ 今ここにあらむ


「…はっ!?」
がばっ、と飛び起きたaaa。
(へ…変な夢…、見た!)
白ひげ海賊団に拾われ数ヶ月。
aaaもやっと馴染んできた。
その時から生まれた一番隊隊長マルコへの想い。
完璧な片想いだった。
「そんなに……好き、なのかな」
自分でもわからない。
aaaは俯きながら、朝食を食べるため、食堂に向かった。

「おいしいかい?お嬢さん」
料理を運んできたのはサッチだった。
「サッチー、聞いてー、変な夢見たー」
aaaが気軽に話せる唯一の人物にして、aaaの気持ちを知る人物でもある。
「へぇ…、じゃあいっそのこと告っちまえばいいだろ」
aaaの夢の話を聞いたサッチは大胆な提案をする。
「やっ、やだよ!フラれたら気まずいし…」
「今でも十分気まずそうではあるけどな!」
aaaの隣に座り、豪快に笑うサッチ。
「…うそ!」
ショックを受けるaaaの目の前に、誰かが座った。
「あ…、エースさん。おはようございます」
ぺこりと会釈をするとエースは手を挙げた。
「おう!aaa」
エースは今日も明るい。
「サッチ、話してねぇで飯!」
「おーおー」
サッチが椅子から立ち上がり、厨房に向かう。
エースは明るいが、aaaにとっては話しにくい存在であった。
「aaa…」
「は、はい!」
「サッチと何話してた?」
エースが真面目な顔をしてaaaに近付く。
「へ?、……そんな、言えませんよ…」
aaaがエースから視線を反らすと、エースの朝食が運ばれてきた。
「わ、いっぱい」
朝から宴か、というほど大量にある料理。
「aaaも食べていいぞー」
「…いいです。さっき食べましたから」
料理を作り終わったサッチがaaaの隣の席へと座る。
「……サッチ、aaaと何の話してたんだ?、aaa、ケチで教えてくんねぇ」
「けっ、ケチは余計です!」
エースはaaaの言葉を聞きながら、なお食べ続ける。
バクバクと食べるせいか、食べカスがテーブルいっぱいに散らばっている。
「んー?、そりゃあ、aaaがマルコをす――」
「わー!わーっ!」
サッチの言葉を遮り、aaaが大声を上げた。
「なっ、なんてこと言ってるんですか!」
「いいだろ、エースにくらい」
サッチがaaaを抱きしめ、胸に埋めて、エースに話し出す。
「aaaはマルコが好きでなぁ、――」
aaaは大人の男であるサッチに敵わず、サッチの胸で耳まで真っ赤にしていた。
サッチが話し終わると、サッチの胸から離れ、真っ赤な顔をして「誰にも言わないで!」と声を張り上げた。

「何をだよい」

マルコ登場。
寝起きのため、噛み殺すこともなく大口を開けてあくびをし、サッチとは反対側の、aaaの隣へと座った。
(ひーっ、なんてタイミングの良い…!)
aaaの顔は真っ赤から一変して真っ青に変わった。
「よう、マルコ」
「はよーす、マルコー」
軽い挨拶を交わすサッチとエースについていけないaaa。
ふとマルコがaaaの方を向いた。
「おはよう」
「あっ、お、おはよう…ございます」
慌ててマルコに挨拶をする。
「……」
サッチがまたマルコの料理を作りに行くが、aaaは空気が気まず過ぎて声も掛けられなかった。

「ふぇ…」
洗濯物を干しながら、なぜか泣きそうになった。
手が冷たく、赤い。
水仕事というものは、辛い。
「マルコ…さん…」
寂しさで名前を呼ぶ。
「どうしたよい」
「ひゃあ!」
aaaの後ろからマルコの声。
驚いてaaaは床に洗濯物を放り投げてしまう。
「ま、マルコ…さん。どうされたんです?、こんなところで」
「なんでもねぇよい」
aaaは落とした洗濯物を拾い上げ、洗濯バサミに挟んでいく。
「サッチと……何、話してた?」
「……それ、エースさんも、言ってました」
「おれが聞けって言ったからよい」
その言葉に、aaaは後ろにいるマルコを見るため振り返った。
「どういう…意味、ですか?」
「そりゃあ……こういう意味だろうよい」
aaaの頬に手を添え、ゆっくりと近付くマルコの分厚い唇。
「…ん!」
甘いリップ音が鳴ると、マルコはすぐに顔を離した。
「aaa…」
「マルコさん…っ、嘘、夢…じゃないですよね…?」
「違うよい」
マルコはaaaにもう一度キスをし、抱きしめた。
aaaの耳元に唇を寄せる。
「愛してるよい」
「はっ、はうー…!」
aaaはその場に崩れ落ちそうになったのであった。

「サッチと仲良いから付き合ってるのかと」
「サッチはお兄さんみたいな人です」
「ふーん。何の話してたんだよい」
「……………マルコさんの、話」
「どんな」
「もうっ、過ぎたことなんですからいいじゃないですか!」



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