旧短編 | ナノ


放課後の職員室の廊下を歩く金髪の数学教師。
足が長いからか、はたまた違う理由からか、歩くスピードが半端なく速い。
私からしてみれば、「歩く」のではなく「小走り」だ。
その金髪の教師を後ろから呼び掛ける。
「サンジせんせ!」
「ん?」
サンジ先生はくるりと振り返り、私に微笑んだ。
(わっ…、眩し…)
こつこつと革靴を鳴らしながら、私に近寄るサンジ先生。
「…どうしたの?」
目線を合わせるように、少し屈んだサンジ先生。
(かっ…顔が…!!、間近に…!!)
ん?、と笑いかけるサンジ先生に、私はテンパりながら、教科書を開いた。
「ここ…っ、が、わからないんです…」
なぜか震える手で、私は「応用例題3」を指差す。
昨日の夜、何度も解いてみたが、毎度答えが合わず、解答の答えにもならない。
テストも近いということもあり、なんとしてでもこの問題を解きたかった。
(今回のテスト結構やばいし…)
はぁ、と溜息を吐くと、サンジ先生は私の顔色を窺っているのか、私の顔をじっと見つめている。
恥ずかしい、そんなことを思っていると、サンジ先生が口を開いた。
「……今、時間ある?」
「あっ、はい!、大丈夫です!」
びし、と背筋を伸ばし、私は返事をした。
「そう。じゃ、教室行こっか」
目の前にある階段を見遣るサンジ先生。
「はっ、はい!!」
教科書を胸に抱え、私は歩き出したサンジ先生について行く。

とんとん、と階段を上る二人。
「……」
「……」
どちらとも喋らない。
(…あと、一階)
今、二階に着いた。
教室は三階だ。
「……ね、教室、誰か残ってた?」
「えっ、あ、えーっと……多分、誰もいないと思います…」
サンジ先生のところに来る前の教室を思い出す。
(…うん、誰もいない)
私が教室を出る頃にはもう誰もいなかった。
「あー…あと、敬語とか、いいから」
「……ん」
背中を向けていたサンジ先生が、振り向く。
金髪が揺らいだ。
「おれのPRINCESS…、今日はなんの用?」
「…わかってるクセに」
ぷう、と頬を膨らませると、サンジ先生は口端を上げて軽いキスをした。


放課後は


「どうせ、おれに会いに来たんだろ?」
「……そうですよっ」
さっきのは全部あとから考えたやつで、本当はサンジ先生に会いに来たのだ。
サンジ先生が好きで、一緒にいたいから。
「サンジ先生、大好き!」
私が抱き着くと、サンジ先生は私の背中に腕を回した。
「知ってるよ」
また甘いキス。



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