旧短編 | ナノ


※サンジ誕生日夢



「サンジ、誕生日おめでとう」


32(さんじゅうに)の心臓


「……そっか」
「忘れてたでしょ。船旅じゃあ日付感覚なくなるもんね」
夜、そう夜の十二時零分、十二時丁度にサンジに今日が誕生日であることを告げる。
aaaが思っていた通り、サンジは忘れていた。
「aaaちゃん、ありがとう。嬉しい」
にっこり笑顔を浮かべて笑うサンジに、aaaも笑みを浮かべた。
「…それでね」
aaaは続ける。
「誕生日プレゼント、何がいいか悩んだんだけど、これかなって思って、前の島で買ったの」
隣のイスに置いていた細長い箱を、サンジの前に差し出す。
「どーぞっ!」
(これって…)
サンジはプレゼントを受け取ると、承諾を得て包装を解いた。
「…!、ありがとう!」
サンジは箱からプレゼントを取り出すと、胸に宛ててみた。
「ううん……こんなものしか贈れなくってごめん」
困ったような笑顔を浮かべるaaaを見て、サンジは首を振った。
「んなことねぇって……クソ嬉しい」
サンジはしていたネクタイを外し、プレゼントのネクタイを締めた。
薄青のシャツに黒めのネクタイ。
「…似合う?」
「……うん、すっごく」
aaaは何度も頷いた。
金髪であるサンジに、映える格好だ。
「ほんと、ありがとう」
サンジはテーブルの向こう側にいるaaaの唇に、キスをした。
「…んっ」
「……aaaちゃんが欲しい」
「プレゼント、あげたばっか…」
aaaは呟きながらイスから立ち上がり、サンジに近寄った。
「だって、クソ愛しく思えてきちゃったんだもん。やらせて」
いつもとは違い、ムードなども気にせず、サンジはaaaを所謂姫抱っこにしてキッチンを出、誰もいないアクアリウムバーのソファにそっと下ろした。
そしてaaaの上に覆いかぶさった。
「サンジ…、キス、して…」
「うん」
aaaが目を閉じると、サンジは唇を重ねた。

「……はぁっ、んん!」
「…う…、っく」
一人は喘ぎ声を我慢し、もう一人は息を詰めながら腰の動きを速める。
「…あっ!」
「ねぇ、aaaちゃん」
サンジは腰を動かしたまま、aaaを呼ぶ。
「んっ……アッ…、なに?」
「…今さ、おれ、クソやべぇくらい幸せなんだけど…っ!」
律動は激しいけれど声色はたいした変化のない甘い話し声のサンジ。
aaaは耳をも犯される気分だった。
「おれの幸せ…、分けてあげる。いい?」
玉になった汗が浮かぶaaaに問いかけながら、それを拭ってやる。
しかしサンジの髪や顎から滴り落ちた汗がaaaの頬にぱたりと落ちてしまい、無意味な行為となってしまった。
「アァッ…!!、……はっ、…いっ、…よ……ッ」
aaaはソファに爪を立てていた腕をサンジの首に回しキスをした。
「aaa…、愛してる……おれのPRINCESS…!」
「…私も!」
サンジは熱を放った。

「ケーキでもよかったんだけど。ネクタイだったら、サンジの側にいられるじゃん」
してる限り、とaaaは服を羽織ったままサンジに話しかける。
「……そうだね」
「それに、ネクタイって心臓の近くにあるから、サンジの命握ってる感じする」
「え、何それ、ドS宣言?」
サンジはかちゃかちゃとベルトをしている。
シャツはまだ羽織ったまま、ネクタイも首にかけられたままだ。
「……サンジは私の許可なく死んじゃ駄目って意味だよ」
「…ん、じゃあずっとこれしとく」
ひらひらとネクタイを振ってみせる。
「え、臭くなるからそれは駄目」
aaaが首を振っていると、ていうかさ、というサンジの声が聞こえた。

「おれ、aaaちゃんがいる限り死ぬつもり、ねぇよ」

サンジはそう言いながらタバコを口にくわえ、火をつけた。
ふう、と煙を吐くと、に、と笑っていた。
「さすが私のPRINCE…、大好き!」
「おれも大好き、ううん、愛してる!」
ウィンクをしたサンジに、aaaは自然と笑みを浮かべた。


○Message
サンジ、誕生日おめでとう

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -