旧短編 | ナノ


※aaa:お嬢様口調
※名字使います




久々の島。
ジャンケンに負けたウソップを置いて、他のクルー達は船を出た。


の奥の


「ふわぁー…」
起きたばかりのゾロは欠伸をしながら街に向かう。
目指すは酒と武器屋。
四角く白い建物の間を通り、酒屋を探す。
どんどんと建物が遠ざかっていく。
「なんでだよ!」
ゾロは声を張り上げ、建物があった方向に向かっていく。
それなのにやはり建物は遠ざかる。
そして景色は木々たちに囲まれたところに。
(ここは…、迷路か!?おれとしたことが!!)
ゾロの頭が混乱してきた時、ガサガサと葉が揺れる音がした。
「誰だ!」
声を荒らげ、腰の刀に手を添え、標的を見遣る。
すると現れたのは女性とも少女ともつかぬ女、aaa。
「えっと…、そこに誰かいますの?」
「あ?」
「いるんですね。武器を離しては下さいませんか?怖いです」
手にいっぱいの花束を持ちながら、aaaは話す。
「あぁ…、悪ィ」
刀から手を離し、ゾロはaaaに近寄る。
「……なんです?」
「あの、よう……、街の行き方、わかるか?」
「…はい。一緒に参りましょうか」
にこ、と笑ったaaaにゾロは少なからず安堵し、歩き出すaaaについて行った。

「…方向音痴なんですね」
「はっ!?」
aaaの言葉にゾロは動揺する。
(なんでバレた…!)
ゾロは頭をがしがしと掻きむしりながら、そうだと答えた。
「街はすぐそこですもの。極度の方向音痴でもなければ迷ったりなんかしませんわ」
ふふ、と笑うaaa。
「…クソ」
「誰にでも欠点はあるものです」
くるりとゾロの方に振り返り、笑いかけると、片手を広げた。
「ここが大好きな私の街です」
住民が行き来する活気ある街。
「悪ィな、本当」
「いいえ。私も帰るところだったんですの。あなたのお役に立てて嬉しいです」
と言って、aaaは頭を下げてから歩き出した。
「待て…っ、名前は…?」
aaaの肩を掴んで、強引に振り向かせた。
「…aaaaaaです。あなたは?」
嫌な顔もせず、また笑うaaaに、ゾロは違和感を覚えた。
「ゾロだ…」
「あそこで花屋をやってますの」
ぴ、とaaaの指差した先には、小さな丘にある大量の花を飾る店。
ゾロはその店を遠目に見ながら、aaaから手を離した。
「お暇でしたら…―」
「――行く」
aaaが最後まで言い切る前に、ゾロが口を開いた。
aaaはゾロがついて来ているのを確認して、花屋へと向かった。

誰もいない丘に、その花屋は建っていた。
「ここからの眺め……スゲェな」
店の玄関から下にある街を見る。
白い街が海と空に溶け込むような――。
「そう…ですか」
「……思ったんだけどよ、aaa、テメェ…」
言うのを躊躇いながら、しかしゾロは決意する。

「瞳(め)、見えてないだろ」

aaaは先程から一回も目を開かず、瞼は下りたままだ。
「…はい。見えていません」
aaaはそう言いながらも、摘んできた花束を花瓶に挿す。
「じゃ、こっからの景色も見えねぇのか」
「ゾロさん……あなたは間違っていらっしゃいます。私には景色が見える、いえ、感じ取れます。同情は私に対する侮辱ですわ!」
声を張り上げ、喋るaaaに、ゾロは驚きを隠せない。
「悪ィ…っ」
「……いいえ。私の方こそ、すみません」
依然として目を閉じたまま、aaaは眺望するゾロを見る。
「いつも綺麗です。ここからの景色…」
「あぁ、綺麗だ…」
ゾロは何回か短く頷いた。

二人は花屋に入り、aaaは店の花を弄り、ゾロはaaaの煎れた茶を飲んでいた。
「ゾロさん」
「あん?」
「私…、さっき見えないと言いましたけど、でも、私にはゾロさんがわかりますよ」
にこ、と笑うaaa。
ゾロの鼓動は急激に速くなった。
「素敵な、方です」
「…ばかやろ」
茶をテーブルに置いたゾロはaaaを後ろから抱きしめた。
「きゃ…っ」
「aaaも、スゲェ可愛い…」
aaaをこちらに向け、ゾロはまた抱きしめる。
「ゾロ、さん…」
aaaの閉じた瞼に、キスをするゾロ。
「おれと一緒に、世界を見ねぇか?」
「……ゾロさん、私」
「見えないその目で、おれを見守ってくれ」
そっと、ゾロが手を握り締めると、aaaは握り返した。
「ありがとう、ございます…。私でよければ是非…」
aaaはゾロの胸に体を預けた。

「おれぁ、海賊なんだ」
「なんとなく…、わかってました」
「なっ、んで…」
慌てるゾロと笑うaaa。
「だって、私とゾロさんが街を歩いた時にざわめいていたから。有名な方なんだと」
「…見えないだけに、か」
ふう、と溜息を吐くゾロ。
「私でいいんですか?戦えませんよ?」
「おれが守んだよ」
「よろしくお願いしますね。あ…、船長さんたちは良い人かしら?」
「あぁ…、最高に良いやつらだ。一人を除いて」
aaaとゾロは手を繋いで、サニー号へと向かった。




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