旧短編 | ナノ


※主人公は女の子です
※友情と愛情のごちゃまぜですが家族愛寄り



『へぇ?、ロビンって言うの?』
『そうよ。今日からよろしく』
『……楽しくもないのに笑って、疲れない?』
『……』
『私はaaa。あんまり船に馴れてないから船酔いするかも』
『ふふ…、大変ね』
『そう!、それ!、その顔が見たかったの!、作り笑いより断然可愛いし綺麗!』
『……ありがとう、aaa』
『うんっ』


顔の


「おいっ、aaa!、この新聞記事みたか!?」
「んー…、まだぁー」
目を擦りながら、クルーの持ってきた新聞を見遣る。
そこには六年も前に付き添った、aaaの探していた人物――。
「……!!、生きて、たんだね…」
aaaは唇を噛み締め、涙を堪えた。
新聞記事一面に書かれた内容。
麦藁一味がエニエス・ロビーに侵入しロビンを助けたという記事だった。
そして新聞に付属してあった麦藁一味の「WANTED」と書かれた手配書。
aaaは「ニコ・ロビン」と書かれた手配書をそっとしまった。
「aaa…」
「ロビンは生きてる…、ねぇ、麦藁一味に会いに行こう。駄目かな」
「副船長が言ってるんだ、行こう。麦藁のところへ!!」
クルーは沸き立ち、出航準備に取り掛かった。

「ロビンちゅあん、ナミすぁん、おやつの時間です!」
サンジがくるくると舞いながら、ロビンとナミの前にジュースとおやつを置く。
「ありがとう、サンジくん」
「ありがとう」
ロビンとナミが本を読みながら、言う。
「あっ、おいルフィ!、五時の方角に海賊船だ!」
ウソップが展望台から叫ぶ。
「うぉっ、ほんとだ!」
チョッパーがぴょこぴょこ跳ねながら海賊船を見る。
「攻撃してこないといいけど…」
不安がるナミを無視して、ルフィは五時の方角にいる海賊船へ手を伸ばした。
「おい!、ルフィ何するつもりだ!」
ゾロがルフィを止めようとするにも関わらず、ルフィは海賊船を掴んだようだ。
「どんなのか見てくるー!」
「ゴルァ!、待てぇ!!」
ナミがルフィを引き止めようとするが、ルフィは「行ってくるー」と言って海賊船に跳んでいった。
「あーあ…、行っちまったよ」
展望台から降りてきたウソップは額に手を宛てた。
「取り敢えず、砲撃体勢をとって!」
ナミが命令すると、フランキーが砲撃準備をし始めた。

一方その頃、ルフィは知らない海賊船の上にいた。
「なぁあ!?、おいっ、aaa!、麦藁だ!!、こいつ麦藁だぁッ!!」
「見たらわかる!」
突如現れた三億の懸賞金のついた麦藁にてんやわんやしていた。
「おっ、おい!」
「ん?、なんだ?」
「お前、麦藁のルフィだろ。ロビンはいるのか?、ロビンに会わせてくれ!」
aaaは掴み掛かるようにルフィに問うた。
ルフィは数秒悩んだ後に、にししと笑って「いいぞ!」と返事をした。
「…ありがとう!、麦藁!」
aaaは笑って、ルフィと握手した。
麦藁海賊船、サニー号に船を寄せる間、aaaはルフィと話していた。
「お前、ロビンとどんな関係なんだ?」
ルフィが聞く。
「……昔のともだち。覚えてるかはわかんないけど」
サニー号の隣に海賊船をぴったりつけると、ルフィは大声で叫んだ。
「おーい!、こいつら敵じゃねぇーぞぉー!」
ルフィがひらひらと手を振る。
サニー号に乗っていた麦藁一味は、安堵の溜息を吐いた。

「ロビーン!」
「…え?」
サニー号に勝手に乗り込んだaaaは、ロビンを視界に捉えると、ロビンに抱き着いた。
「え?、……aaa?」
「!、覚えててくれたんだ、ロビン!」
aaaは嬉しそうに笑いながらロビンの豊満な胸に頬を押し付ける。
「誰だ、テメェ」
ゾロが噛み付くように質問する。
「そうよ、そっちだけで話を進めないで!」
ナミが手を広げながら近付いてきた。
「私?、あの海賊団の副船長、aaa!、よろしく」
「ロビンとはどんな関係があるのよ」
ナミが眉をひそめる。
「昔のともだちだってよ!」
びよーん、とゴムの手を縮ませながら現れたのはルフィ。
「ロビン、会えて嬉しい!、大好き!」
ロビンから離れようとしないaaa。
ロビンはaaaの頭を撫でながら、アクアリウムバーに案内した。

サンジがコーヒーと砂糖とミルクをaaaの前のテーブルに置いた。
ロビンにはブラックコーヒー。
「おれは席を外しますので、何かあったら言って下さい」
サンジは微笑みながら、律儀に一礼し、アクアリウムバーにはaaaとロビンの二人だけとなった。
「ロビン…」
「aaa、無事でよかったわ。あなただけが、気にかかっていたから」
そう言ってロビンはコーヒーを啜る。
「私もだよ…、ロビン」
涙を堪えながら、aaaは笑う。

aaaとロビンが会ったのは五年前。
ある海賊船の上で会った。
どちらも力を見初められ、海賊団に入ったのだ。
同じ境遇から、二人はすぐに仲良くなった。
まるで家族のように、接していた。
しかし、そんなことは長く続くはずもなく、海賊団の船長は、ロビンに八千万の懸賞金がかかっていることを知るや否や、ロビンを海軍に渡そうとした。
それを察知したロビンは逃げた。
しかし海軍は海賊団を襲い、aaaは消息を絶ったのだ。

「あれから私はあの海賊団の船長に拾われて…、今こうして生きてる」
「……よかった」
ロビンが深く微笑んだ。
「私もよかった…。ロビンが、ちゃんと笑っててくれて。…心の底から笑ってるロビン、綺麗」
aaaはコーヒーにミルクと砂糖を大量に入れて混ぜた。
「ロビンは上辺だけの笑顔ばっかするから」
aaaがそう言うと、ロビンは苦笑いをした。
「ロビン、私、ロビンに会えて嬉しかった。私、ほんとう――」

「おいっ、ちょっと、聞こえねぇだろ!」
「もちっと声小さくしろ!あっちに聞こえんだろ!」
「あー、もう何言ってるか、わかんない!!」
麦藁一味は盗み聞きをしていた。
「今日はやっぱ宴かな!、サンジ!、よろしく!」
「おーよ」
サンジはキッチンに向かう。
「じゃあ、あの海賊たちも呼ぶよな?、声かけてくら」
フランキーが海賊船に向かった。
「おー、サンキュ」

そして、aaaの海賊団を交えての宴となった。
盛大になり、ルフィと船長は仲良く飲み食いし、aaaはロビンの隣で酒を少しずつ飲んでいた。
「ロビン、前ね…」
「ふふ…」
aaaは今まであった楽しかったことなどをロビンに話した。
宴は夜明けまで続き、ルフィ含め海賊たちの殆どはサニー号の甲板で寝ていた。
「ロビン」
「ん?」
二人は海と日が昇る様子を見ていた。
「ロビンが逃げて、私が海軍に捕まりそうになった時、死にたくないって思ったの。なんでか、わかる?」
aaaはロビンを見ずに、話す。
「…どうして?」
ロビンはaaaを見ながら、首を傾げた。
aaaはロビンの顔を見て、微笑んだ。
「ロビンに会うって誓ってたから」
「…ありがとう」
ロビンは顔を綻ばせた。
「でも、今は、何も怖くないの。裏切られることも、傷つくことも、死さえも」
だってね、とaaaは続ける。
「ロビンが、笑ってるから」
「……」
「ロビンが笑う世界に、悪いところなんてない」
aaaはふるふると首を横に振った。
「ロビン、また会おう。今度も、こんな感じで」
「ええ」
ロビンは、aaaを抱きしめた。

そして別れがきた。
海賊たちは別れを告げ、船に戻っていく。
aaaはロビンに抱き着き、笑って別れた。
船が離れていく。
aaaはロビンが見えるように、大きく手を振った。
遠くなる距離。
「…っ」
唇を噛み締めたその時、にゅ、とマストから一本の手が延びた。
「ロビン…!」
別れの挨拶。
aaaはその手を、ぎゅうと握り締めた。
同時に、大量の涙が流れた。
「う、…う…うぁあ!、うああぁん!!」
ぱたぱたとロビンの手に涙が落ちる。
きっとロビンは気付いている、aaaが泣いていることを。
「うわあぁああん!ロビーン!!」
船長に頭を撫でられながら、aaaは号泣した。

「…あっさり別れたわね」
ナミがロビンに言う。
「いいのよ。また会う約束をしたから」
「どんな約束なんだっ?」
チョッパーが問うた。
「……秘密」
ロビンが笑った。


「キミが今笑っている、眩い其の時代に。
誰も恨まず、死せることを憾まず、必ず其処で逢おう」
SH/イド「光と闇の童話」 より



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