旧短編 | ナノ




普通では気付かないようなところにあったりするけれど、大概は、所謂。
灯台下暗し、って感じで、近いところに隠れてる。


そこにあるもの


「マルコなんて知らない!」
「うるせぇよい」
いつものようなケンカに、もはや反吐が出る。
「…ーっ、バカ!」
aaaは扉を力いっぱい閉め、その扉はバァンと盛大な音を立てた。
「…」
マルコは無言のまま、じっとその扉を見ていた。

「ひどいです、ほんと!」
「大変だなぁ、aaaは!」
エースに頭を撫でられるaaa。
サッチはスープをごくごくと飲み干していく。
「aaaも、マルコのこと考えてんのか?」
ぷはっ、と空になったスープの器を口から離し、テーブルに置くサッチ。
「う…!、それは…」
しどろもどろするaaaはグラスを握ったまま。
「マルコなんも言わねぇかんなー」
エースがに、と笑いながら喋るが、面白い話などしてはいない。
「マルコはよ、aaaのこと好きだ、ちゃんと」
サッチがaaaをグラスに写す。
歪んだaaaが、そこにいた。
「ん…、それはほんとだぞ」
エースも賛同する。
「……ほんとかな」
aaaはテーブルに突っ伏す。
「気になるなら聞きゃいいだろ」
サッチがaaaの頭をぽんぽんと叩く。
「言ってくれないから毎回ケンカしてるんじゃん…」
aaaは瞳を閉じて、視界を暗くした。

(だめ…、なんにも見えない)

ぱち、と起きるとエースとサッチといた場所ではなく。
「……マルコ!?」
「なんだよい」
マルコの部屋だった。
「なんで、私…」
「aaaが寝てるから連れていけって」
サッチが、とマルコは言う。
「寝るなら自分の部屋で寝ろい」
ベッドに寝転がるaaaの額を小突く。
「…だって」
「だって、なんだよい」
「…、なんでもない」
aaaは黙って、寝返りをうった。
「あぁ…、aaa。明日ちょっと用事があるんだよい、一緒についてこい」
aaaの背中の向こうで、思わぬマルコの誘い。
こんなこと、滅多にない。
「いく!」
「aaaに拒否権はねぇよい…」
マルコのいつも通りの声色に、aaaに笑みが零れる。
怒ってるものだと思っていたaaaにとって、マルコの態度はaaaを喜ばせるものとなった。
「マルコ!、私ね、マルコのこと好きみたい!嫌いじゃなかった!」
「そうかよい」
「マルコ、マルコ!ねぇ、私大好きだよ!」
ベッドから這い上がって、マルコに歩み寄る。
(これって…!)
本の整頓をしていたマルコは、横にいるaaaの頭をぽんと撫でた。
「マルコってさ、照れてる!?」
「それはねぇよい…」
マルコにぺし、と叩かれるaaaの頭。
(大人な恋愛なんだ、これが…!!)
ぱあぁ、と瞳を輝かすaaa。
(言葉に出さなくても、マルコの想いが伝わってくる気がする…、大人な恋愛ってすごい…!!)
aaaは微笑みながらマルコに抱き着いた。
(aaa…、何か勘違いしてないか?)
aaaが寝ている間、サッチやエースに素直になれと言われて少し行動に出てみたマルコだったが。
「aaa」
「なに?、マルコ」
マルコは少ししゃがんで、aaaの顎を掴み、無理矢理目を合わせた。
そして、分厚い唇を、aaaの薄い唇に押し当てた。
「んっ」
すぐに離され、aaaは驚いた顔でマルコを見ると、マルコはにやりと笑っていた。

「aaa、ちゃんとついてこいよ」
「…へ?、何が?」
「明日の用事」
「あぁ、うん!行く!」



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