旧短編 | ナノ


あなたに助けられた時、私はあなたを優しい人だと思っていたけど、今は違う感情が渦巻いている。


ルコ


「マルコさぁーん」
aaaは目の前にいる男の名を呼ぶ。
マルコと呼ばれたその男は、こちらを見ようともしない。
「マルコさん!」
二回目に呼ばれ、マルコはやっと振り向いた。
「どうしたよい。おれはaaaみたいにヒマじゃねぇんだよい」
「……知ってますー」
aaaは少し申し訳なさそうに俯くと、マルコはaaaの頭を撫でた。
「後で構ってやるからよい」
と言ってマルコは背を向けた。

aaaがマルコに出逢ったのは一ヶ月も前のことだった。
aaaは山賊に襲われていたところを、マルコに助けられたのである。
aaaは身寄りがないことをマルコに告げると、マルコは「親父に相談する」と言って、モビー・ディック号と呼ばれる巨大な船へと連れて行かれた。
親父と呼ばれる大男は「自分が出来る仕事を見つけろ」とだけ言って、aaaは了承を得るかたちとなった。
その日からaaaは雑用係としてモビー・ディック号のクルーとなった。
慣れない海上での生活で、まだ見慣れない白ひげ海賊団のクルー達にビクつく毎日。
クルー達は気軽に話し掛けてくるが、人あたりの良いaaaでも戸惑うことが何度かあり、クルー達と仲良くなるのには少々時間がかかったのであった。
そんな時にフォローをしてくれたのがaaaを助けたマルコだった。
そっけない態度ではあったが、優しく接してくれた。
助けられた時の恩人でもあるマルコに、aaaも周囲の人よりも優しく接した。
そして日が経つにつれ、aaaはマルコに惹かれていった。

「マルコさん……あの、」
「……ん?」
マルコはaaaの呼び掛けにゆっくりと後ろを向き、aaaを見た。
aaaは俯き、胸の前でぎゅうと両手を握っていた。
「どうしたよい」
マルコはaaaに歩み寄り、そっと握り締められた手に触れた。
「マルコさんは、私のこと……どう思ってます?」
aaaは思う。
先程、自分の頭を撫でた行為とその時の発言からして、自分は子供扱いされている、と。
「……女」
「それ以外」
「………、それは、どういう意味で言って欲しいんだよい」
マルコはaaaの頬を両手で包んだ。
「……マルコさ――」
「"俺の"女、じゃ駄目かよい?」
と言って、マルコはaaaを抱きしめた。
「……マルコさんに助けてもらった時、私はあなたを優しい人としか認識していなかったけど……今は、マルコさんが好きで好きでしょうがないんです」
aaaはマルコの胸に頭を埋(うず)めた。
「……お仕事頑張って下さい。でも、終わったら……一緒にいて下さい、ね?」
aaaはそう言って体を離そうとすると、マルコは間際に耳元で「aaaの満足するまで味わってやるから待ってろよい」と言ってaaaの頬にキスをし、するりと横を通り過ぎた。
aaaは耳まで真っ赤にさせ、マルコとは逆方向へと走り出した。




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