旧短編 | ナノ




一つ奪えば十が欲しくなり
十を奪えば百が欲しくなる
SH/Elysion「魔女とラフレンツェ」 より






トレーニングをするゾロ。
「はぁ…っ、…はっ」
ゾロの吐息だけが響く部屋。
(かっこいいなぁ…)
その光景を眺めるaaa。
「……aaa?」
「ん?」
ゾロが一旦トレーニングを止めて、aaaを見ている。
「さっきから見てただろ、どうした?」
aaaに近寄り、バーベルを床に置く。
ズシン、と床に震動が響いた。
「なんでもー…」
おもむろに視線を反らすaaa。
「嘘だろ」
くい、とaaaの顎を掴んで目と目を合わせる。
「おら、言ってみろよ」
もうこれでは、どこにも逃げ場はない。
それを知って、ゾロはしている。
「私ってさ、ゾロのこと…好きじゃん。でも、もう手に入ってるはずなのに……不安、なんだよ、ね…」
何故か唇が震えて、上手く言葉を伝えられない。
aaaはゾロの手を握った。
aaaの手は驚くほど冷たい。
「誰だって…そんなことくらい、あんだろ」
汗と上昇した体温で温かいゾロの手は、冷えたaaaの手を包む。
「ゾロも…?」
「…たりめぇだろ」
こつん、と額を合わせた。
「ゾロ…全部ちょうだい」
aaaはゾロを床に押し倒した。
ゾロはaaaを見上げ、そして笑った。
「全部やる。だからaaaも……もらうぜ」
ゾロはaaaのボタンに手をかけた。
「ん…」

「あっ、はぁ!」
甘い声が占めるトレーニングルーム。
もはやゾロの私室になっている。
「…はっ」
荒い息のゾロは、aaaをひたすら攻める。
「あぁ…もっ…だめ…!」
ふるふると痙攣したaaaの体に、壊れるくらい力いっぱい、ゾロは熱を中にぶつけた。

「私………やっぱりおかしい」
「は…?」
裸の二人は脱ぎ散らかした服をかき集めながら喋り出す。
重い体を床に這わす。
「どういう……意味だ…」
ゾロは真っ裸のまま、aaaの前に仁王立ちになる。
なぜかまだ元気な股間がある方向が見れず、aaaは俯いたまま服を着る。
「それは……こういう、」
「違いまーす」
股間のそれに指差すゾロを否定する。
「ん、でも……合ってる、かも?」
「どっちだよ」
aaaはゾロにズボンを差し出すと、潔く穿いた。
「ゾロが……欲しいの。けど、こうやってね、」
上半身裸のゾロに抱き着き、分厚い胸にキスをする。
「するのも…好き…」
「満足か?」
aaaの細い腰に腕を回し、頭を撫でる。
「…ううん。もっと、いっぱいしたいの」
「へぇ…、欲しがり」
整えたばかりのaaaの服が開ける。
「駄目、かな」
「いや……、もっと求めろ、おれをよぉ」
ゾロは、aaaの両腕を掴み、腰に回させる。
「じゃあ……いい?」
「あぁ…、しろよ」
ゾロの承諾を得て、aaaはゾロをゆっくりと床に押し倒し、再度行為に至った。

「まだ、欲しい…」
「いいぜ…」
aaaはゾロを抱きしめ、キスをねだる。
ゾロはお安い御用とでも言うかのように、何度もaaaに口づけをした。
何時間過ぎてかは知らないけれど、高かった太陽が海の底に消えてしまったのは相当前のこと。
そろそろナミのお叱りが近付く時間。
「やっぱダメ……また、夜にね」
キスをしようとしたゾロを素早く離すと、服を着てトレーニングルームから出て行こうとした。
aaaはドアノブに手をかけ、ゾロの方を振り返った。
「また、来るね」
「あぁ」
微笑んだaaaに、ゾロは独特な笑いを浮かべ、aaaの出て行く様子をじっと見ていた。



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