旧短編 | ナノ


※aaa:15歳、右利き



綺麗で透き通るような歌声がおれを惑わせるなら、塞いでしまえばいい。


が奏でる音


新しく麦藁一味に加わったaaa。
ルフィより二つ年下で、ルフィよりも幼く見える。
しかし、外見からは想像がつかないほど、強い子だった。
彼女が口を開けば誰もが唖然とし、行動を止めてしまう。
いや、止まってしまうのだ。
彼女の力で。
右手に音叉を持ち、髪を靡かせて歌う様子は、まさに天使だ。
しかしその歌は人の動きを止め、さらには細胞の破壊を行う。
反対に、愛を謳う歌は心や体を癒した。
その能力に惚れ込んだルフィが、「仲間になれ」と言ったのだ。
aaaは少し悩んだ後、笑顔で「よろしく」と言った。

それから三週間は過ぎた。
aaaはブルックと仲が良く、頻繁に音楽の話をしている。
「aaaちゃん、どうぞ」
サンジはaaaの前に笑顔でティーカップを置き、骨のブルックには無言で置いた。
「ありがとう、サンジくん」
にこ、と笑うaaaは愛らしい。
「……aaaちゃん」
サンジが名前を呟いたのも知らず、aaaはブルック作曲の楽譜に目を通した。
「良い曲だね、これ」
「ありがとうございます」
ブルックは笑顔で紳士的な応答をする。
(結構……おれとかぶってるよな、骨)
サンジはそう思いいながら、じっとaaaを見る。
けれど、二人の邪魔だと考え、部屋から出ようと後ろを向き、歩き始めた――。
「待って!」
くん、とサンジは服を引っ張られた。
振り返ると、aaaの小さな手がサンジの服を引っ張っている。
「…どうしたの?」
「待って。聴いて欲しいの、歌」
楽譜を指差すaaa。
(ちょっと、期待したんだけどなぁ。……行かないで、とかさ…)
サンジは無言でaaaの隣にあったイスに腰掛ける。
同時にaaaはティーカップの横に置いてあった音叉を手に取り、立ち上がった。
「行くよ…」
スゥ、と大きく息を吸って、テーブルに置いた楽譜通りにメロディを歌い始めた。
aaaの声は、音叉を伝って部屋を満タンにさせる。
目を瞑り、歌うaaaはどこか色っぽかった。
メロディを奏でるaaaの唇に、サンジは魅了される。
(クソ、やべぇ…)
疼く体。
どうしようもない感情。
サンジはいつの間にか煙草を吸いながら、aaaの歌う様子を見ていた。

「サンジくん…どうだった?」
「ん、aaaちゃんの歌はいつもクソ最高だよ」
サンジが微笑むと、aaaの顔が綻んだのがわかった。
ブルックは何故か立ち上がり、部屋から出て行こうとする。
「あ、ブルックさんっ?駄目だったかな…?」
aaaは慌ててブルックに話し掛ける。
「いいえ。aaaさんに合いますよ、この曲。私はこれで失礼します。サンジさん、あとは…」
と言ってブルックは部屋から出て行った。

(やるじゃねぇか…骨…!)
サンジは内心ガッツポーズをしていた。
「駄目…だったんだろうなぁ…っ」
落ち込むaaaは瞳に涙を溜め始める。
それに気付いたサンジは慌てて、aaaを抱きしめた。
「aaaちゃんの歌、クソ良かったよ。…惚れたかもしれねぇ」
「えっ!?」
サンジの腕の中でわたわたするaaa。
「aaaちゃん…」
「サンジ、くん…!?」
サンジはaaaの頬に手を宛て、瞳を見つめ合う。
「好きだ…。歌ってる姿も、こんな風に顔が赤くなってるところも…」
つつ、とaaaの唇を指の腹でなぞるサンジ。
そしてサンジは行動に出た。
「あ…っ、サンジく……、…んんっ」
aaaにキスしたのだ。
「ん、…ふぅ…っ」
先程のaaa歌声とは打って変わって、キスの甘い音が部屋に響き渡る。
何度もaaa唇に吸い付いた後、名残惜しそうにサンジは唇を離した。
「はぁ、はぁっ……ん、サンジくん…」
手の甲を唇に押し当て、涙目で、イスに座ったままのaaaは立っているサンジを見上げた。
「aaaちゃん、もう堪えらんねぇ。好きだ…」
「サンジく…」
涙目だったaaaが、ついに泣き始める。
「ふっ、う…」
「aaaちゃん……。おれのこと、嫌いになっていいから…」
キスしたこと、と付け加えて喋ると、aaaはふるふると首を横に振った。
「サンジく……、ちが、のっ…」
「aaaちゃん…?」
目の前に立つサンジの腰に縋り付いて、aaaは泣く。
「サンジくん……すき、大好きだよぅ…っ」
「!」
サンジは意外な展開に目を見開く。
「サンジくん、かっこよくて…強くて…、だから…っ」
私には釣り合わないと思ってたから、と涙を流すaaa。
サンジはしゃがみ込んで、aaaの小さな体を抱きしめた。
「馬鹿だなぁっ、aaaちゃん…」
aaaの頭をよしよしと撫でてやる。
「aaaちゃんだって強くて…、可愛くて……クソ最高だよ」
ちゅ、と可愛い音をさせ、aaaとサンジはキスをする。
「サンジくん……大好きっ」
「!」
サンジは留めていた理性が吹っ飛び、aaaを抱き上げ、ソファに押し倒した。
「えっ、サンジくん?」
「なぁ…おれだけのために歌ってくれねぇ…?」
サンジはaaaの頬に手を宛て、優しい瞳でaaaを見る。
「でも…」
「優しくするから!」
サンジはaaaの有無を聞かず、aaaの服を脱がした。
「さっ、サンジくーん!」
aaaはサンジだけに鳴いたのであった。


○おまけ
「ちょっと…、まだ終わらないの!?」
オレンジの髪の女性が呟く。
「そんなすぐには終わらねぇ…アウ!」
青髪リーゼントのサイボーグが高い声を上げた。
「なぁー、腹減ったぞー」
船長はいつでも呑気だ。
「あれ…?ゾロは?」
赤い帽子をかぶったトナカイ。
「寝てるんじゃないの!?呑気に!!」
またオレンジの髪の女性が怒鳴り気味に口を開いた。
「ふふっ…平和ね…」


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