旧短編 | ナノ


※ヒロイン:15、6歳




「おい、お前……大丈夫か?、おい!」
「う…っ…」
倒れている少女。
ボロボロの体を拾い上げ、船に向かった。


んな出逢い


「あんたは何でいっつも……朝に出て行ったくせになんで帰ってくるのが夜なのよ!この方向音痴!!」
女性が誰かに罵倒している。
「あぁ!?仕方ねぇだろ!船が動いてんじゃねぇのか!?」
かちゃ、と何か金属音。
「ンなわけねぇだろ!ふざけんじゃねぇ、このクソマリモ!」
もう一人、男性の声。
「静かにしろーっ!!」
野太い男性の声。
「ん、…う………うるさい」
ぽつりと出た自分の声。
「えっ!?あ…起きたのか…!?、良かった!」
目を開いたaaaは視界に小さな動物を映した。
「ん?…た、ぬき…とか?」
むくり、と起き上がり、そこにいた小動物の被る帽子を触る。
「トーナーカーイーだーっ!」
急に巨大化した小動物、野太い声の主はこの動物らしい。
「えっ…ゴリラ?」
「違ーう!たぬきだー!じゃない!!トーナーカーイーだーっ!」
二メートルあるのではないかという程の巨体を見せ付けるトナカイ。
「トナカイ……そう、トナカイなの……。名前は?」
「おれはルフィってんだ!」
麦藁帽を被った男。
眠っていた時には聞こえてなかった声。
「へぇ…」
「おれはチョッパー!医者だ!」
巨体から小動物へと元に戻ったチョッパーという動物。
よく見ると胸に聴診器がある。
「……頼もしいね」
「そっそんなことないぞ!」
照れる小動物をよそに、オレンジの髪の女性が近づいてきた。
「わたしナミ。ねぇ、あなたはなんで倒れていたわけ?こいつが助けてくれなかったら死んでたかもしれないわよ?」
罵倒する声の主はナミという女性。
ナミはゾロの腕を掴み、引き寄せた。
「助けてくれてありがとう。……あんまり、覚えてないの、ごめんなさい」
ぺこり、と頭を下げるといや、と声が聞こえた。
ナミという女性に叱られていた男性の声。
「とっ、取り敢えずゆっくり休むといいぞ!」
小動物チョッパーの声。
「そうね。船は出航しちゃったし。あ。駄目だったかしら」
ナミが済まなさそうにこちらを見遣る。
aaaは弱々しく首を横に振った。
「いいの…どっちかっていうとあの島から逃げ出したかったもん…」
「みんな、部屋から出ましょう。休ませてあげなきゃ」
黒い髪の女性が言った。
その言葉を合図に、部屋から去っていく人たち。
「あ。名前、なんていうんだ?」
麦藁帽の男、ルフィが聞いた。
「aaa」
それを聞いて、部屋の扉は閉められた。
部屋には一人、ではなく緑色の髪をし刀を三本腰に差した男と二人きり。
「えっと……ありがとう、助けてくれて」
「ゾロ」
「ゾロ、ありがとう」
ゾロを見ながら礼を言った。
「いや……歩いてたらてめぇがいただけだ」
そっぽを向いて答えるゾロ。
「あ。これ」
ぽーん、と弧を描いて投げられたもの。
「あ……これ…」
大きなぬいぐるみ。
「そばにあったからよ、一応」
持ってきた、と言うゾロ。
「ありがとう。これ、宝物なの」
ぬいぐるみを抱きしめ、頬擦りをする。
「そうか」
そっと撫でられたaaaの頭。
ゾロの優しい笑顔。

それから一週間。
「ゾロー…私のぬいぐるみ…知らない?」
宝物のぬいぐるみを手に持っていないaaaがトレーニング中のゾロに問い掛ける。
「朝起きたら……なくなってたの…」
aaaの瞳が潤む。
「おいっ、泣くな!……下にあったぞ、たしか」
「えっ!」
aaaは展望台から甲板に続く梯子を降り、キョロキョロと見渡すと、ロープについた洗濯バサミに吊されているぬいぐるみ。
「あった!」
「あ、それ泥とかついてて汚かったから洗っといたわよ」
そこに通りかかったナミが言う。
「今日は天気が良いし、もう乾いてるんじゃない?」
「あっ、ありがとう、ナミ!」
笑って礼を言うとナミも笑ってキッチンに向かった。
その奥でサンジの声がした。
ゾロが展望台から降りてきた。
aaaは吊されたぬいぐるみを取ろうと手を伸ばすが、高い場所に吊されたそれはなかなか手が届かない。
「うーん、ん!」
ぬいぐるみの尻尾を掴み、引っ張る。
しかしバランスを崩してaaaは後ろに倒れてしまう。
「うわ…っ」
「…っと」
ぽふ、とゾロの腕がaaaの体を受け止めていた。
「あぶねぇやつ」
「ゾロ…ありがと」
またゾロに頭を撫でられた。
「aaa、」
ゾロに呼ばれ、ゾロを見上げると降ってきた唇。
チュ、とリップ音。
「……へっ?へ!?」
抱きしめたぬいぐるみで赤くなっていく顔を隠す。
「……かわいいやつ」
に、と笑って去っていくゾロの背中。
「いっ……イミわかんないっ!!」
叫んだaaaの声にゾロは手を挙げ、振るだけだった。



◯おまけ
「ゾロってロリコンだったのね」
呆れた様子で椅子に背をもたれるナミ。
「クソマリモにいかにもありそうじゃねぇか」
タバコを吸うサンジ。
「たしかに可愛らしい子よね」
コーヒーを飲むロビン。
「はぁー…aaaちゃん、おれにしとけばいいのに」
はぁ、と煙を吐いたサンジ。
「ゾロって……一目惚れみたいだったわね」
「えぇ……慌てて船に帰ってきてたものね。迷わず真っ直ぐ船に…」
クスクスと笑うロビン。
キッチンではそんな会話が繰り広げられていたのだった。


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