旧短編 | ナノ


雰囲気:シリアス ストーリー:甘め
※現パロ



あなたのことをもっと知りたい。


(優しさに触れて)


「……ん」
明るい日差しに、aaaは目を覚ました。
「ここ…は…」
見慣れない天井と広い部屋。
クイーンサイズというのか、大きなベッドに寝かされたaaa。
ぶかぶかのパジャマ。
「……?」
ベッドから下りて、部屋の扉を開ける。
長い廊下を通り過ぎ、目の前の見覚えのあるような扉のノブに手をかけた。
ふわりと香る良い匂い。
「あ、aaaちゃん起きた?まだ寝てても良かったのに」
キッチンにはサンジ。
可愛いエプロンをしたサンジがフライパンを持って料理をしている。
「あ…」
夜見たのとは違うサンジに、aaaは見とれてしまっていた。
「はい、どうぞ」
テーブルに皿が置かれる音。
サンジはaaaのためにイスを引いた。
「……aaaちゃん?」
「へっ?、あぁ…ありがとうっ」
そのイスに座り、箸を握った。
サンジは向かいの席へと腰を下ろした。
「いただきます」
「どうぞ」
サンジの焼いた魚を口に放り込む。
「……おいしい!」
ぱあ、と笑顔になるaaa。
aaaは何回も箸を運ばせ、口に入れた。
「ありがとう」
目を細めたサンジを見て、aaaは頬が少し紅潮した。
「…さ、サンジさん…あ…っ、…サンジも食べてみて!」
「うん」
サンジは小さく頷いて、魚をぱくりと食べた。
「うん、最高だね」
そう言うサンジに笑いつつ食べていると、いつの間に料理が無くなっていった。
「ぷはっ…おいしかった!」
ご馳走様、と手を合わせaaaは食器をシンクへ運ぼうとする。
「aaaちゃん…、いいのに」
サンジもかちゃかちゃと食器を持っている。
「だって……サンジ一人じゃ持ち切れないでしょ?」
「!、……そうだね。ありがと」
お礼と言わんばかりにくれた、額にキス。
「っ!!」
aaaは驚きの余り固まってしまった。
サンジはクスクスと笑いながらシンクへ食器を運び、水をかけている。
「ほら」
アワの付いた手を差し延べるサンジに、aaaは食器を渡した。

「aaaちゃん」
サンジはソファに座る少女を呼ぶ。
ざぁざぁとシンクに流れる大量の水の音。
「どうする?」
「なに…が…?」
振り返るaaaの瞳に映るはサンジ。
「学生は学校に行くのが義務でしょ?」
部屋の隅にあるハンガーに掛けられた制服をちらりと見るサンジ。
「あ……う、」
気まずそうに視線を反らすaaaを見てサンジは口を開いた。
「気の済むまで居て良いから」
「えっ、でも……迷惑、だよ…」
喜びも束の間、aaaは吃りながら眉を八の字にした。
「いいんだよ、aaaちゃん」
サンジは食器を洗い終わり、エプロンで手を拭き、それを脱いでイスにかけ、aaaの座るソファまで歩み寄った。
「aaaちゃんが思うようにしたら良い」
そしてサンジは、aaaに唇を落とした。
重なる二人の唇。
aaaは瞳を瞑る間もなく、キスを受けていた。
(……サンジ?)
す、と離された唇。
「aaaちゃん」
頬に添えられたサンジの手。
温かい。
「包帯とガーゼ……代えようか」
微笑むサンジ、頷いたaaa。
サンジはリビングから去って、数分もしないうちに戻ってきた。
手には包帯とガーゼ、消毒液とティッシュ。
「座ってていいよ」
テーブルにそれらを置いて、aaaの手から包帯やガーゼを外し、ごみ箱に捨てていく。
「…っ」
たらりとかけられた消毒が染みる傷。
垂れた消毒をティッシュで拭き取る。
「治ってきてるね」
固まった血と体液を見て言うサンジ。
その言葉にほ、と溜息を吐いた。
「これで良し!」
蝶々結びをされた包帯。
(可愛い…)
じ、とその包帯見ているaaa。
サンジはソファから立ち上がり、口元を緩めた。
「あ、ありがと…」
サンジを見上げて、礼を言う。
「ん、どういたしまして」
に、と笑ってサンジは消毒液を片付けに行った。
aaaは包帯を愛おしそうに撫で回した。
「どうしたの」
戻ってきたサンジがソファに腰掛け、aaaの包帯を撫でる手に己の手を重ねた。
「嬉しいの」
こんなことにされたことないから、とサンジに笑いかける。
「aaaちゃんは笑うとより可愛いね」
「へっ!?」
かっ、と赤くなる顔。
何を言おうか悩んでいると、ふと疑問が頭を過ぎった。
「あっあの、お仕事は…っ?」
「仕事?……あぁ、今日はお休み」
テーブルの上のテレビのリモコンを手に取り、テレビをつける。
「仕事……何の仕事?」
「高校の教師。古文の」
「教師!、……すご…」
ピ、ピ、とボタンを押してチャンネルを変えていく。
「どうかな。aaaちゃんみたいな子がいても気にしない……バカな大人だよ」
「!、これは…」
ぎゅ、と手首を握るaaa。
「何も言わなくていいよ。でも……抑え切れなくなったら、言って?」
「……サンジ」
「aaaちゃんの力になりたい、おれは」
サンジの大きな腕に抱きしめられたaaaの体。
「おれは多分、aaaちゃんを…――」
その先は、言わなかった。



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