旧短編 | ナノ


※生まれ変わりネタ、マルコと結婚



真っ白なドレスを着た女性が墓の前で立っていた。


終わりのないだった


「サッチ、愛してるよ」
「aaa、おれも愛してる」
笑い、愛し合ったのはいつだっただろう。

aaaとサッチの出会いは四年前だった。
「…?」
「……」
街でサッチとすれ違ったaaaは、初めて会うにも関わらず、サッチを見覚えのある顔だという、何か不思議な感覚に陥った。
記憶の隅にあるような、何か。
その後、あるカフェにて再会した二人は意気投合し、そこで談笑した。
「おれも、会ったことある気がする!初めましてだけど!」
「えっ、サッチさんも…?」
サッチの顔を見ていると、aaaはいつも見る夢を思い出した。
「あっ、見たことある顔だと思ったら、夢の…!!」
「夢?」
aaaは毎度、夢を見る時は決まって同じ夢を見る。
それは、自分が海賊となって、サッチそっくりの人物と恋をする、という夢だった。
その話をすると、サッチも、同じ夢を見たことがあると言った。
「これってよ、前世の記憶ってやつじゃねぇ?」
「前世の、記憶?」
「なんじゃねぇかな」
同じ記憶を持った二人が、互いに惹かれ合うのは、必然とも言えるべきことだった。
「…これって、運命だね」
「そうだな」
サッチはaaaを、aaaはサッチを求め、愛し、体を重ね合った。
プロポーズも受け、婚姻届をaaaが書いていた時のことだった。
サッチが事故に遭ったという電話が来た。
「…あ、い、いやぁああ!!」
aaaが慌てて病院に駆け付けると、そこには冷たくなったサッチがいた。
ぼろぼろと泣いても、サッチが戻ってくれるはずもなかった。

サッチの葬式の後、サッチの友人だったマルコがaaaを励まし続けた。
「あの、…マルコさん」
「"さん"はいらねぇよい」
仲良くなった二人は、遂に、体を重ねた。
サッチを失った悲しみを埋める優しいセックスに、涙が溢れた。
「aaa、愛してる」
マルコの笑顔が、サッチと重なった。
「私も愛してるよ、マルコ」
二人は、婚姻届を提出した。

結婚式当日、ウェディングドレスを着たaaaは部屋を飛び出していた。
「aaaさんはどこに…」
「ま、マルコさんどうしましょう」
慌てるスタッフにマルコが連れてきますと言って、タキシードを着たまま式場を出て行った。
「マルコさん!」
止めようとするスタッフを気にせず、マルコは黒い車を回した。

一方、aaaは墓場に来ていた。
草原にいくつも並ぶ、アメリカン式の墓。
日本のものより低く、小さい。
「…サッチ」
ウェディングドレスを身に纏ったaaaが呟くと、サァと風が吹いた。
aaaの手には酒瓶がある。
「サッチの好きなウォッカ。私は今でも飲めないよ」
ふ、と笑いながら、aaaはばしゃばしゃと墓にウォッカをかけた。
「…おいしい?」
aaaはドレスをたくし上げるとしゃがみ込み、サッチの墓を優しく撫でた。
「サッチ。ねぇ、サッチ、愛してる。今でも、ずっと」
子供に語りかけるように、優しい声色でaaaが言った。
潤む瞳から、今にも涙が零れてしまいそうだったけれど、メイクが落ちるからと、涙を堪えた。
「サッチ。声も見た目も性格も、キスもセックスも全部全部大好きだったよ」
す、とaaaは立ち上がった。
「aaa!」
後ろから呼び掛けられ、振り向くと、タキシードを着たマルコがいた。
「…マルコ」
マルコがaaaの側に寄ると、サッチの墓を見た。
「こいつはおれがもらったよい」
に、と笑ったマルコを見て、aaaは笑った。
「サッチ、私ね、マルコと結婚するの。でも、一番愛してるのはサッチだよ!!」
そう言ってaaaは車が停めてあった方向に歩き出し、マルコもそれに続いた。
しかし、aaaはぴたりと歩みを止めると、すぅと大きく吸った。
「サッチ!私は、来世もきっとサッチのこと好きになると思う!ううん、愛しちゃうよ絶対!!」
そう叫んだaaaの目から、涙が一粒だけ零れた。
「当たり前だろ!aaa、来世じゃ、んな変態とじゃなく絶対おれと結婚式上げような!!」
サッチの声が聞こえた気がした。
苦笑いをするマルコがaaaの背を押して車に乗せた。

遠く先の話。
「なんか最近、ずっと同じ夢見るんだけど」
「なにそれ、こわ」
あはは、と友人と話し合っていると、背の高い人が横を通り、aaaは声を上げた。
「――サッチ?」
「…aaa?」
二人の出会い。

生まれ変わってもあなたと恋をする。
終わらない恋。


タイトルは「確かに恋だった」より


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