旧短編 | ナノ



「なんで、aaaちゃんが……」
「サンジく…」
地面に倒れ込んだaaa。

あなたとわたしの手をねて、 06

「や、やべぇ!」
賞金稼ぎは一般人を撃ったと勘違いし逃げていった。
街には野次馬がaaaとサンジを取り巻いていた。
「なっ、なんでaaaちゃんが、おれをかばって…!」
サンジはaaaに駆け寄る。
「…いっ、う……、サンジくんがケガするとこ、見たくなくって、ね」
ケガをしながらも、それでも笑うaaaに、サンジは自分が恥ずかしくなった。
そしてサンジは両手を握り締め、賞金稼ぎを追おうと立ち上がった。
「…っ!!」
足を、引っ張られた。
「サンジくん、聞いてほしいことがあるの…、お願い行かないで…」
「今じゃないと駄目かい…?」
「…今度置いてかれたら…、もう私無理だよ…」
青ざめた顔で精一杯の笑顔を作るaaa。
サンジはしゃがみ込み、aaaを抱き抱えた。
「ごめんな、おれ…」
「やめて!!サンジくん……おねがい、聞いて…」
aaaがサンジの胸に擦り寄ると、サンジはaaaの髪を撫でた。
「……私ね、最初は賞金稼ぎとしてサンジくんに近寄ったんだけど…、サンジくんと一緒にいるうちにね、サンジくん素敵だなって、優しいなぁ、かっこいいなって思ってね……」
aaaはサンジの後頭部に手を回して引き寄せると、耳元で囁いた。
「…本当に好きになったんだよ」
「…aaaちゃん」
「サンジくん、だいすき…」
aaaの意識は次第に薄れていった。
叫ぶサンジの声が、微かながらに耳に届いていた。
サンジはaaaを抱えて立ち上がると、野次馬を睨んだ。
「おい、プリンセスたち以外のクソヤローども!病院はどこだ!教えねぇと三枚にオロすぞ!!」
怯える人たちを気にもせず、サンジは病院に向かった。

aaaが意識を取り戻したのは二日経ってからだった。
aaaが寝ているベッドの側には、サンジがいた。
「aaaちゃんっ!」
「サンジくん…」
サンジが飛びつくようにaaaを抱きしめた。
「ごめんな、本当、おれ…!!」
「私も、隠してたから、悪いんだよ。おあいこね?」
ケガをしている様子を微塵にも出さないaaa。
「…あぁ、わかった」
「…ね、ずっといてくれたの?」
「ん?、あぁ、いつaaaちゃんが起きるかわかんねぇからな。本当はあいつらオロしたかったんだけど…」
aaaがサンジの背中に腕を回し、サンジの肩に顎を置いた。
「…憎まないでほしい。あの人たちにも事情があるのよ、きっと。……私もそう」
「…aaaちゃん?」
「私ね、…海賊に家族を殺されたの。だから、海賊はいらないって、賞金稼ぎになったの。……海賊も悪い人たちだけじゃないって知ったけど」
すりすり、とサンジに頬を寄せるaaaの頭を、サンジはぽんぽんと撫でた。
「……大好きだよ、サンジくん」
「おれもクソ好きだ…」
顔がだんだんと近付いて、唇が重なる――。
「おい、やべぇ!海軍が感づいたみてぇだ!!」
ガラリとドアを開けて入ってきたのはウソップだった。
「ア?、テメェいいとこをよぉ、……って海軍が?」
サンジに叩かれたウソップは頭を押さえながら頷いた。
「…賞金稼ぎが手に負えないからって海軍に連絡したのかな、」
aaaが呟いた。
「ログはもう溜まってる!早く行かねぇと…」
「でもっ、…aaaちゃん、行こう!!」
す、とサンジが手を差し延べるが、aaaは手を重ねようとしたが、すぐに手を引っ込め、ふるふると首を横に振った。
「ダメ、こんなのじゃ足手まといになっちゃうから」
「いいっ、おれが守るから…!」
そのセリフに、aaaの目頭が熱くなった。
「……ありがと。でも、私のせいで傷付くサンジくんは見たくないや。だからね、」
ウソップが病院の窓から外に出て、早く、とサンジを呼んでいる。
「迎えに来て、サンジくん…!!、私、それまでにはずっと強くなって、可愛くなって待ってるから…!」
「……こんなこと言わせちまうなんて、とんだクソヤローだな、おれは」
サンジはaaaに近寄り、ほろりと涙を流した。
その様子に、aaaもつられて涙を流した。
「泣かないで…、笑って?、笑ってるサンジくんが好きだよ」
そう言われ、涙を堪えて笑うサンジとaaaは手を重ねて、それからサンジはベッドに腰を下ろした。
「aaaちゃん、愛してる。……待ってて、絶対迎えに来るから」
「…うん」
二人は唇を重ねた。
唇の感触を堪能した後、サンジは病院の窓に足をかけた。
「お迎えにあがりますその時まで、ほんの少しばかりお待ち下さいませ」
笑ったサンジは身を翻して、病院を出て行った。
数分後、海軍が病院に、そしてaaaの病室にやって来た。
「海賊がいると報告を受けましたが、ここには…」
「誰もいません!」
aaaは笑顔でそう言った。


二年後。
「おい、海賊船だぁー!!」
街の方から聞こえる人の声に耳をすませながら、aaaは一人、丘で海賊船を見ていた。
「お迎えにあがりました、おれのプリンセス」
後ろから聞き覚えのある声がして、aaaが振り返ると、そこには頭を垂れた金の髪の男が立っていた。
「…サンジくん」
姿は少したくましくなっていたが、それは間違いなくサンジ本人だった。
「お待たせ致しましてすみません。お迎えにあがりました。……さぁ、行こうか、aaaちゃん」
差し延べられたサンジの手に、aaaは手を重ねた。


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