旧短編 | ナノ


※aaa:人間


人間とは、なんて、愚かしい生き物なのだろうか。





「雅様、入ります」
雅の部屋の障子を開けたのは、彼の右腕でもある斧神、ではなくaaaだった。
声は斧神であるのになぜだ、と雅が斧神の方を向くと、斧神はあるものを持っていて開けられなかったのだ。
そのあるものとは。
「雅様、将棋、しませんか?」
暇でしょう、と笑ったaaa。
斧神は承諾なく雅の前に将棋板を置いた。
「…お暇ではなかったですか」
「……いや」
はぁ、と溜息を吐くと、雅は将棋の駒を並べ始めた。
(…ちょうど暇だったし、な)
aaaは雅に向かい合わせになるよう座ると、将棋の駒を手に取った。
斧神はそれを見届け、部屋を出て行った。

「雅様からで」
「あぁ」
パチン、と歩を進める。
「雅様は、人間のことをどう思われますか」
aaaは駒を見つめ、そして歩を進めた。
「…愚かな生き物だな」
雅はaaaの歩を取った。
「…そうですね」
「貴様はどう思う」
「私は、……どうでしょう。馬鹿だとは思いますよ。互いに殺し合って、泣いて、笑って、憎んで、また殺して……人間って怖い」
パチン、と飛車を動かしたaaa。
「あぁ、そうだな。……人間など、私の家畜にすぎん」
ベロリと舌なめずりをした雅に、aaaはぞくりと体を震わせた。
「強いものに支配されるのは、弱肉強食、自然の摂理と同じです」
「そうだ。吸血鬼に支配されるのが、人間なのだ」
パチン、と角行を動かした雅が、またaaaの駒を取った。
「…aaa」
雅が将棋板を倒すとガラガラと畳に将棋の駒がなだれた。
「貴様も同じだ、この、捨て駒と、同じだ」
びり、とaaaの服を引き裂くと、雅はaaaの胸を鷲掴み、首筋に牙を立てた。



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