旧短編 | ナノ



「aaaちゃん…、おれさ、aaaちゃんに言ってなかったことがあるんだ」
「…うん?」
二人は島の、街が一望出来る丘へと来ていた。

あなたとわたしの手をねて、 04

「実は、おれ、海賊なんだ」
「………」
サンジの告白に、当たり前だが、aaaは押し黙った。
「…好きとか、旅に連れてくとか言っておいてなんだけどさ……。でも、aaaちゃんが良ければ、海賊に入れてもいいってことになってんだけど…」
サンジが横目でaaaを見ると、aaaは恐怖したりすることなく、ただ微笑んでいた。
「aaaちゃん…?」
「知ってたよ。賞金首リストに似たような顔があったし、島の裏の港に止まってた海賊船からサンジくんが出てくるとこ、見ちゃったから」
aaaが街と海を見ながら言った。
「最初は驚いたんだけど、サンジくん優しいし、海賊っぽくなくて…、私どんなサンジくんも好きだよ。……私でよければ、海賊になりますっ」
「…aaaちゃん、ありがとう」
サンジはaaaの頬を両手で包み、唇を重ねた。

二人はそれから島を散策した後、街に戻った。
「静かなところもいいけど、賑やかなところも悪くはないね」
ちょん、とサンジの手に触れて、自然と手を重ねるaaa。
サンジは一、二度頷いた。
「で、どうしよっか」
「…だいたい店は見たからなぁ」
きょろきょろと周りを見渡す二人。
「あ。あのお店、行っていいかな?」
「うん、行こう」
aaaとサンジが向かったのはこの島で有名なブランドの服があるという店だった。
aaaがワンピースやスカートをあてて鏡で見ている姿を確認して、サンジはたばこを吸いに店の外に出た。
「……よぉ」
「…あ?」
サンジに、一人の男が話しかけてきた。
腰には銃と刀があり、ガラも悪そうだ。
「お前、麦わらの一味のサンジだろ!!」
「それがどうした」
サンジは怒鳴る男を気にもかけず、たばこを吸う。
「おれはお前と同じ海賊だ。お前、さっき女と一緒にいただろ」
「?、…あぁ」
「あの女には気をつけろよ!あいつは賞金稼ぎだからな!」
海賊のよしみで、と笑う男に嫌悪感を抱き、蹴りかかりそうになった時に、視界の隅に買い物を終えて店から出てきたaaaを捉えた。
「……あ、サンジ、くん」
「aaaちゃん…っ、んなわけねぇよな?」
海賊はいつの間にか消えていた。
サンジがaaaに笑いかけるが、aaaの顔に笑みが浮かばない。

もしかして、これが、aaaちゃんの嘘か――。

「…おれを好きって言ったのも、金のためかよ」
サンジはくわえていたたばこを地面に落とし、足でぐしゃりと踏んだ。
「ち、違うの、サンジくん私は!」
「海軍に引き渡すためにおれに近付いたんだろ!!」
サンジは怒りをあらわにして怒鳴った。
そんなサンジを初めて見たaaaは、怯えることしか出来ない。
「わ…、私は確かに賞金稼ぎだよ。でも、私本気でサンジくんのこと好きになったの、本当、信じて…―」
aaaがサンジに手を伸ばすと、バシッと弾かれた。
「悪ぃ、信用出来ねぇよ…」
サンジはそう言い残し、賑やかな街に消えていった。
「…サンジくん、私、本当に好きなのに……や、やだ、待って、行かないでよぉ…っ」
aaaは地面にへたり込み、泣き崩れた。

「クソ!、aaaちゃん…、クソ…!!」
手を強く握り締めたサンジは、ただうろうろと街を歩いていた。


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