旧短編 | ナノ



「ログは一週間よ」
「はぁい!わかりました!」
サンジは返事をして、ネクタイを調整しながら船を出ていった。
「……会って即効デートってどうなんだ?」
ウソップはサンジの背中を眺めている。
「まぁ、aaaって子がいいんなら、いんじゃない?」
ナミはルフィたちにお小遣を配って言った。

あなたとわたしの手をねて、 02

「待った?」
ベタな台詞を使うのはサンジ。
「…全然」
ふ、と微笑んだaaa。
「行こうか」
サンジとaaaは手を重ね、街へと出向いた。

「サンジさん、本当に私でいいんですか?」
aaaがサンジに尋ねた。
サンジが昨日の夜、aaaと出会った時に、初めてこの島に来たから二人で街を歩かないかというデートの誘いをしたのだ。
aaaもこの島は初めてだからと快い返事をした。
しかし、二人は昨日初めて会った仲で、aaaはそれを気にしていたのだ。
「aaaちゃんがよければ、ね」
サンジの笑顔に、aaaはほっと胸を撫で下ろした。
「あ。そのサンジさんっての、ちょっと他人行儀すぎねぇかな?」
照れて頭を掻くサンジに、aaaは微笑んだ。
「…何がいいかな?」
「ん?なんでもいいけど…」
「…サンジくん、とか?」
恥ずかしそうに、顔を赤らめるaaaに、サンジは胸が高鳴った。
「あ、あぁ、うん」
「なんかちょっと照れちゃうね」
aaaははは、と笑いながら、周りの店を見遣る。
「あ、あそこ寄っていい?」
「ん?、あぁ、うん」
aaaが指差したのは雑貨店だった。
サンジは頷いて、aaaについていった。
「ね、これ可愛いね」
「ほんとだ」
ウサギやリスの置物を手に乗せるaaa。
サンジははしおきを見つけてそれを手に取ると、aaaがはしおきを覗き込んだ。
「…はしおき?」
「うん。おれコックだから」
「そうなんだ!」
すごいね、と褒めるaaa。
サンジは「そんなことねぇよ」と言った。
「…コックさんはこの島に何しに来たの?」
aaaは天井にぶら下がった風鈴を眺め、それからちらりとサンジを見た。
夏島なのにサンジの体は冷え、手から不愉快な汗をかいた。
まだサンジは、海賊ということをaaaに言っていないのだ。
「……オールブルーっていう海を探す旅に出てんの」
ぎこちなく笑うサンジは、内心aaaに嘘を吐いていることがバレないかヒヤヒヤしていた。
「オールブルー…?」
「あぁ、オールブルーってのはな、」
サンジは不安と焦りを押し殺し、オールブルーの話題に花を咲かせた。

「じゃあ、aaaちゃんはこの島になんの用があって来たの?」
「え?、…うーん、あんまり用はなくって、旅に行ってみたかったの」
視線を泳がせたaaaは少し悩んだ後にそう言った。
「……」
サンジは気づいてしまった。
aaaが嘘を吐いていることに。
「…そっか」
それでもサンジは、aaaには何も聞かず、aaaが言いたくないのならそれでいいと、思った。



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