旧短編 | ナノ


※学パロ


まだセミは鳴らない。


せみ


「暑いくせにせみが鳴ってなくて夏っぽくない!!」
aaaは屋上で叫んだ。
「知らねぇよい」
右隣で弁当を食べるマルコを睨むが、マルコはaaaの視線を無視して弁当を貪り食う。
「確かに鳴らねぇなー」
左隣にいるサッチが寝そべって流れる雲を見ていた。
「うん……梅雨明けはもうしたのに」
「どうしたんだろうな」
馬鹿みたいな疑問に頭を働かせながら、aaaはサッチの無防備な脇をくすぐった。
「ほぎゃー!何すんだ、変態!」
キャー、と何もしてない胸を隠しながらサッチが寝転がった。
「おっぱいじゃねーよ!」
aaaが立ち上がり、サッチの腹に踵をめり込ませる。
「ぎゃー!!……あ、パンツ見えた!」
サッチがぺろりとaaaのスカートをめくった。
「きゃー!変態!!」
サッチの脇に蹴りが入る。
「うぐっ!本気かよ…っ」
「何色だった?」
のたうちまわるサッチにマルコが食べ終わった弁当箱を置いて言った。
「ピンク!」
「色気づいてるな」
「馬鹿ー!!マルコもサッチもさいってー!」
ガクガクとマルコの肩を掴み揺らすaaa。
「下着くらい、減らねぇんだからよい」
「減るよ!!」
ボコ、とaaaがサッチを殴ると「なんでおれ!」とサッチが泣いた。
「減るって、見られるとだんだん透けるとか?」
「それ、いいよい!」
はっ、と笑ったマルコに呆れがさしたaaaは大きな溜息を吐いた。
「健全男子だねー…。ついてけないよ」
「ん?そ?」
サッチがへらへらと笑う。

「あちぃ」
ぱたぱたと手で扇ぐ三人。
「あ、あと何分?」
「二十分」
今は一時二十分。
五時間目が始まるのは一時四十分だ。
「…戻る?教室冷えてるよ、多分」
「女子に絡まれるからイヤだよい」
マルコが言い切った。
「私はいいの?」
「aaaのことは気に入ってるってか、好きだからいいんだよい」
ふ、と男らしい笑みを浮かべるマルコ。
「えっ、ありがとう。私も好き」
aaaは自分でそんなことを言ったのにも関わらず顔が熱くなっていた。
「えー、おれは!?」
「サッチって下ネタ大魔王じゃんか」
「違うよ、大魔神!じゃなくて、下ネタとか関係なくね!」
口を尖らせるサッチに心底引いているaaa。
「おれは好きだぜ、aaaのこと!付き合お!」
「サッチって昨日隣のクラスの女子とキスしてたよね、見ちゃった。彼女?」
因みに、本当のことである。
「げぇ!バレた!!…別れるから付き合おう!」
サッチがaaaの手を掴む。
「やっ、変態がうつる!離せ!」
ブンブンと手を振り、サッチの手を離す。
「別に変態でもいいじゃん。マルコも変態だって」
「そんなの見た目でわかるって」
マルコを見ながらニヤニヤと笑うとマルコがaaaの額を小突いた。
「夜覚悟しとけい。お仕置きしてやるよい」
「え、もうそんな関係なの?」
サッチが目を見開き驚く。
aaaは照れながら「もう、やだぁ…」とマルコに擦り寄っている。
「……aaa、暑いよい」
べり、とaaaが引きはがされる。
サッチが両手を広げているが、aaaはそれを無視してマルコに向き直る。
「夏だからねー、せみ鳴んないけど」
「暑いなー」
サッチがaaaに抱き着いてきた。
「あっつ!!やだやだサッチのばかー!」
「あぁー、aaaやわらけー」
擦り寄るサッチにaaaはマルコに助けを求めた。
「たっけてー」
「仲良しこよしだな」
「のんきー!」
バタバタと暴れるaaaはサッチの顔をベチンと叩いてサッチの腕から抜け出した。
「…暑い。もう戻る」
「あっ、おれも」
「おれも」
サッチとマルコとaaaは屋上を後にした。

「せみはまだかな。結構好き」
「マルコより?」
「うーん…」
「悩むな、悩むなよい!!」
「や、だってさ、せみって夏ってカンジじゃん。夏好きだからさ」
「知るか。今日ほんとに家に来てもらうよい」
「ピンチ!!」



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