旧短編 | ナノ


※現代パロディ


付き合って半年、プレイボーイで女泣かせの通り名を持つサンジがいまだに手を出してこない。


しすぎて君が見えない


「なんかイヤ」
イライラを頭の中に巡らせながら、aaaは呟いた。
「どうして?」
向かいの席に座ったナミが問う。
「私、いまだに処女なんです…!」
と呆気なく答えたaaaにナミは呆れて声も出なかった。
「……彼氏ってサンジくんよね」
テーブルにあったポテトを食べながらナミが言う。
「そうです」
言いきって、aaaはジュースのストローをくわえた。
「意外ね。サンジくん奥手なのかしら」
「奥手って!プレイボーイと名の知れたサンジが!?」
バン、と軽くテーブルを叩くaaa。
「知らないわよ。ていうか皆見てる」
テーブルを叩いたせいで、マックの中の客がこちらを見ている。
「あー…ごめん」
はぁ、と溜息を吐いて、aaaは顔をしかめた。
「なんでかなぁ…?」

サンジが仕事から帰ってくるのと同時に、aaaは夕飯を作り終えた。
「サンジ、おかえり」
「ただいま」
スーツを脱ぐサンジはいつも通り格好よい。
金髪が揺れた。
「……お風呂沸いてるけど」
「じゃあ…、ご飯で。aaaのご飯は冷めてもおいしいけど、、温かいうちの方がいいからね」
サンジは微笑みながら、椅子に腰を下ろした。
aaaもテーブルを皿を運んだ後に席に座った。
「…おいしい」
箸で魚を啄みながら、サンジは言う。
「ほんと?、うれしい」
aaaは半ば嘘だと心の内で思いつつも、感謝の気持ちを述べる。
「…ご馳走さま」
手を合わせながら、二人は皿を持ってシンクへと移動した。
「サンジはお風呂入って。私が洗っとくから」
「ありがと」
サンジは手をひらひらと振って、リビングを出て行った。

「…んー」
洗い物を済ませ、ソファに腰掛けた。
お笑い番組をするテレビをじっと見つめていると、ローテーブルに置いてあったサンジの携帯が鳴った。
携帯を覗く。
「…………女の名前って、」
ひく、とaaaは顔をしかめた。
そしてサンジの携帯を掴むと、大きく手を振り上げた。
「…っ!」
しかし、携帯は床には叩き付けられず、ローテーブルに再び置かれた。
「…なんで…」
「出たけど、どうしたの」
サンジが風呂から出て、リビングに来た。
「ね、サンジ…、私サンジに抱かれたことない」
「は?」
「私もう22歳になるのに処女なんだけど」
はぁ、と溜息を吐いてaaaはソファに蹲った。
「…光栄だ」
「光栄って……22にもなって処女なんてバカみたいじゃない!!それに、サンジが彼氏でセックスしたことないって……おかしいよ」
涙ぐむaaaに、サンジはただ呆然とaaaを見つめる。
「サンジ、そんなに私って魅力ない…?」
ひっくと嗚咽しながらaaaは顔だけでサンジを見上げた。
サンジは罪悪感に眉を八の字にする。
「だ…っ、aaaがセックスしてもいんだってんだったらおれだってしてたっつの!」
サンジが怒鳴り声を上げ、aaaはびく、と体を震わせた。
「セックスして孕ませて無理矢理おれの女にしてやりてぇって…でもaaaは処女だし初めて本気で好きになった女だったから怖がらせたくなかった…!!」
独りよがりだった、とサンジはaaaの蹲るソファに座り込んだ。
「せっ……セックスくらい初めてだからって動揺しないよ!」
流石の私でも、とサンジを睨みつけたaaa。
「だって、おれのセックスってクソ激しいしSMプレイなんだぜ」
「……」
サンジの言葉に唖然とするaaaは冷汗が自分の額を流れ落ちるのを感じた。
「うし、じゃあ今からすっか」
「や………、優しくして…」
真っ青な顔と固まった体のaaa。
「当たり前!」
サンジはウィンクをしてaaaを横抱きにして寝室に連れていった。

後にaaaの悲鳴のような喘ぎ声が寝室から聞こえたのは言うまでもなかった。


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