旧短編 | ナノ


※学パロ


自分の体に自信が持てないでいた私に、容姿が好きだと言った男がいた。


コンプレックス マックス


「…ねぇ、そう思わない?」
そう同意を求めた友人はaaaを見上げた。
「ん?、うん」
にこ、とaaaは笑うと、友人が顔を戻したと共に小さく溜息を吐いた。
aaaは身長が高い。
「あ、aaaー」
教室に入りながら手を振ってきたナミ。
ナミとの身長に、ためを張るのだ。
目線は同じくらいで、世間話を交わす。
「そう言えばね、」
ナミが笑うのと同時に、aaaは愛想笑いをした。

ナミやロビンと話すのは構わないが、他の友人と話す時は大変だ。
友人は必ず見上げなければならなく、それは男子も同じくそうであった。
しかも、一部の人には見下していると勘違いされている。
そういう陰口を放課後聞いた時に、こちとら悩んでんだよ!と叫んでやりたかったくらいだ。

ぐるぐると授業中に考えていると、すぐにチャイムが鳴った。
「aaaちゃん」
掃除を終えて、かばんに教科書を詰めていると、王子様が迎えに来た。
「サンジ…」
かばんを肩にかけて、教室を出ていく。
靴を履きかえ、学校を後にした。
家の近くの団地をぶらぶらと歩く。
「……」
恋人同士であるがゆえに、手を繋ぐ二人。
aaaが少し横目で見ると、サンジもこちらを見つめていた。
「…なに」
「aaaちゃんこそ」
ふ、と笑ってサンジはaaaを引き寄せた。
サンジの胸に突っ込むaaa。
といっても、実際サンジの胸に飛び込んでもサンジの胸というよりは肩の位置に顎が置ける身長差だ。
「サンジ…」
女の仕草で、見上げる、なんてものがあるが、それはaaaはほとんど経験がなかった。
今も二人は首を痛めることもなく、見つめ合っているのである。
「私…やっぱ、しん――」
「ばぁか」
aaaの言葉を遮るようにサンジは口を開いた。
「aaaちゃんが喋る時はいつも身長のことを言うよね。あと胸とか」
す、とサンジがaaaの胸に触った。
決して、いやらしい感情などなく。
「背が高くて何が悪ィんだ」
むに、と胸を触っていないもう片方の手でaaaの頬を引っ張るサンジ。
「いひゃい…」
「胸がなくて、それなのに身長は高くて、それが嫌だって……、んなクソ綺麗な美貌のこと言ったって誰も自慢にしか聞こえねぇよ」
ぱ、と手を離してサンジはその手でaaaの手をぎゅうと握られる。
「……aaaちゃんはクソ綺麗だよ」
さらさらと髪を撫でるサンジに、自然と心が軽くなって、aaaは思わず涙を流した。
「自信持って」
サンジは視線の少し下にあるaaaの唇を数秒見て、それからそれに食らいついた。
外であることを気にせず、深い口づけを交わす。
「…サンジ、ありがとう、サンジ」
「おれがaaaちゃんとセックスしてる時……、クソ白くて長い足にキスすんの好きだ」
スカートの下へと侵入するサンジの手を、aaaは驚いてサンジの手の甲を抓った。
「外」
「ごめん」
サンジはへら、と笑ってすぐに手を引いた。
「胸が小さくて悩んでんだったら…、揉むと大きくなるっつーし、してみる?」
意地悪な笑みを浮かべるサンジ。
「し…ない!」
ぷい、とそっぽを向くaaa。
「そのスタイルに、胸が大きくても小さくてもあんま意味をなさねぇよなー…」
サンジがaaaの全身を見て言った。
整った顔、白い体、すらりと伸びた手足、少し膨らんだ胸、張っている尻。
バランスの取れている体といえる。
「てか、掌サイズにはあんだし、困んねぇよ」
サンジは再びaaaの胸を触り、今度は揉んだ。
「何に困るの!」
ごん、と頭を殴ると、サンジはひどいよと涙目で言った。
aaaは気にしないといった表情でサンジを見ていた。
「おれはaaaちゃんのこと好き、だよ」
「……うん。私も…、好き!!」
サンジはaaaの頭をわしわしと撫でた。

「陰口言うやつなんか、aaaちゃんの容姿ひがんでるだけなんだから気にすんなって」
「そっ、そうかな…」
「うん、そう」
「…本当?」
「…aaaちゃんはモデルレベルなんだからよ、もっと自信持てって!」
「うー…ん」


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