旧短編 | ナノ


※現代パロディ


なんか最近、ゾロがよそよそしい。


プロポーズ


aaaとゾロは恋人同士で、同棲して二年経つ。
「おはよ、ゾロ」
いつも通り、朝のあいさつをしながら、テーブルに朝ごはんを置いた。
「…あぁ」
これは普段通り。
「ね…、ゾロ、デートしたいんだけど」
にこ、と笑いかけながら、ゾロに言う。
「は!?、あ、わりぃ……今日は用があってな」
目を逸らしながら、ゾロが言う。
「…そっか」
aaaは何も言わずにご飯を食べ終わると、食器を片付けた。
「…行ってくる」
ゾロは着替えをして、aaaに手を挙げて、そそくさとどこかに行ってしまった。
「…何?やましいことでもあるの?」
苛立ってaaaは食器を洗うとゾロの部屋に駆け込んだ。
いつもと変わらない素朴な部屋。
雑誌数冊が入れられた棚と、パソコンとノートがあるシンプルなテーブル、しわくちゃのシーツの黒いベッド。
それだけしか、ない。
「うーん…、ありきたりだけどベッドの下とか」
がさがさとベッドの下を探る。
「ん、なんかある」
手にものの感触。
ベッドのものを取り出すと、手にはエロ本とアダルトビデオが数冊。
「あんのクソ野郎…ッ!」
バシン、と床にそれらを叩き付ける。
ゾロが変態なのは百も承知だったが、内容がアレすぎて怒ることしかできない。
「コスチュームプレイ、縄の縛り方…」
中身を確認しなくも表紙でわかる。
どれも女性があられもない姿をしている。
「………ゾロは変態なんだからこんなのであんな風になったりしないか」
ふう、と溜息を吐いて、aaaはベッドの下にちゃんと隠してから、リビングへ戻った。
「最近なんかあったっけ?」
ぽりぽりと頭を掻きながら、リビングを見渡す。
テレビが付いている。
「……?」
首を傾げるが、何も思い浮かばなかった。

夕方になって、やっとゾロが帰ってきた。
「おかえり」
aaaはエプロンをつけてキッチンに立っていた。
「お風呂沸いてるから」
「ん」
ゾロは風呂場に向かう。
「なんにもないなぁ」
夕飯を作り終えた頃にゾロが風呂から出てきた。
ゾロにしては長風呂だ。
「…遅かったね」
「ん、そうか?」
ゾロは苦笑いしながら、テーブル席に座った。
食卓に料理が並ぶ。
豚肉の生姜焼き、ポテトサラダにスープ。
「……aaa、重要なこと忘れてんだろ」
「…何を」
「カレンダー見ろよ。…aaaの誕生日だろ」
aaaは、あぁそうだと納得する。
「忘れてた。完璧に」
冷蔵庫からビールを取り出し、ゾロに渡した。
ぷし、と同時に缶を開ける。
「aaa、おめでとう」
「ありがと」
乾杯をする。
「あ、あとだな」
「?」
「誕生日っていったら、なんだ?」
ゾロが照れ臭そうに言った。
「……なんだろ」
「…プレゼント、だろ」
ゾロがそう言ってaaaに手渡したものは。
「…ッ!!」
aaaは大きく目を見開き、嬉しさに涙を流した。
「あと、これな」
ゾロがポケットから取り出したものは、箱に入った、小さなダイヤが嵌まった指輪。
「おれと、結婚してくれ」
「……はい、よろこんで」
居酒屋かよ、なんてツッコミをする暇はなかった。
真っ赤な顔をしたゾロが席を立ってaaaを抱きしめ、aaaはゾロの胸で泣いた。

テーブルの上に置かれた紙は、ゾロの名前が書いた婚姻届だった。


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