Snow White

「…捕まえた、」
「っや、離して!」

夜。誰もいない廊下で、遠野は結城の体を後ろから羽交い締めにした。

鬼ごっこ。そう言った遠野は、自分に捕まらない様に寮内を逃げろと告げた。遠野の、背筋が凍える様な笑みに結城は脱兎の如く走り出したのだが、数分後にあっさりと捕まってしまった。

「ねぇ、こないだからお前はチームの課題をクリアして、色んな事を免除されてるけど、果たして力は発揮されてるのかな?」
「な…に?」

壁に押し付けられ、真っ正面から視線が絡むと、吸い込まれそうな感覚に陥って力が抜けてしまう。

「料理は高岡矢太郎の機転でクリア、次の課題は芦屋縁の案だろうし…ね、お前は何かした?」
「っ!?」

舌が、ベロリと頬を濡らした。

「マスコットなんていらないんだよ。それに甘んじるなら、彼らに置いて貰う事を考えなきゃ」
「なに、言って…」
「まだ分かんない?お前、優れてるの記憶力だけ?」

シャツのボタンが、床に転がった。

「媚びろっつってんの」
「っぅあ、」

現れた肌に、歯を立てた。結城の白い肌に、くっきりと遠野の歯形が残った。ビクリ、と怯えを含んだ表情で、結城は眉をしかめた。

「高岡は優しくするだろうし、芦屋もドSだけどまぁ甘い所もある。いいんじゃないか?」
「やっ、やだ…っ」
「何?もしかして…感じちゃった?」
「っ!?」
「あはは、面白いなお前。女王様に選ばれる為には、色々頑張らないと、ね?」

カチャカチャと、ベルトが外れる音が響いた。静まる廊下にはやけに大きく聞こえる。

「逃げないでよ?」
「っん!」

遠野の口が結城の中心を包んだ。

「っや、あぁん、んん!」
「ふふ、やらしい声出すんだね」
「い、や…っ」

グチュグチュと、水音が増す。抵抗の甲斐もなく、結城の中心は遠野の愛撫にしっかり反応し、もう限界を訴えている。

「っあ、あ、っやぁあ…っ!!」
「っん!!」

結城が遠野の髪を掴んで体を震わせたのと同時に、遠野の口内は結城の欲で一杯になった。遠野の口が離れた瞬間、ズルズルと壁伝いに結城は座り込んだ。

「ん、ごちそうさま…気持ち良かった?」

遠野の問い掛けにも答えられない。ぼうっと焦点の定まっていない視線が宙を泳ぐ。

「あはは、お前本当に面白いね…おやすみ、僕のカワイイ玩具さん」

彼が階段に姿を消すと同時に、結城の体は床と同化した。



END




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