Clap
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星座…一颯
今年最初の白が積もる道を、サクサクといつもと違う音をたてて二人分の足跡が轍を作る。
「凄い雪だな」
「そうですね」
「はー…今年も、もうすぐ終わりか」
白ばんだ息を吐きながら一樹がしみじみと呟く。釣られるように颯斗も空を見上げた。
「きっと翼くんは、もう一年いて欲しいとか言うんでしょうね」
「はは、あり得るな」
「…寂しいのは、僕も同じです」
「颯斗?」
「いえ、何でもありません」
俯いて一歩、踏み出した颯斗を一樹は引き寄せて抱きしめた。
「か…い、ちょ…?」
「無理すんな、馬鹿」
白く染まる綺麗な桃色を撫でながら、一樹は笑う。
「お前も俺に、更に留年しろってか?」
「い、いえ…」
「残念だが、俺は今年こそ卒業する。だけどな、颯斗」
冷たい、けれど柔らかい颯斗の唇が、温もりに包まれる。同時に、はらりと、颯斗の瞳から雫が弧を描いた。
「俺たちは全く会えない訳じゃない。俺も遊びに来るし、街で会う事も出来る」
「会長…」
綺麗な雫を指で拭う。寒さと二重で赤くなった目尻が、薄く下がった。
「ゆっくり、行こうぜ」
アンダンテのリズムで、キミと。
END
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