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ブレイクとギルとレイム
現代パロ(レイブレは同居中)

***
ばらら、と小爆弾のように雨が降って、止む。また降って、止む。本当に鬱陶しい天気だ。主にギルバート君の様子が。

彼はコンビニに行こうと先ほどからタイミングを計っているはずなのであるが全くもって外に出る瞬間を見極められないらしい。どうも雨が降っていない時にいきたいようだ。窓の外を覗いてはしかめつらをし、また覗いてはよし今だと玄関に向かっては途中で雨の音に邪魔され引き返している。それを彼が繰り返すこと数回。だんだんと面白くなってしまった私が思わず吹き出すと彼はいらいらと此方を見た。

「別に傘を差していけばいいじゃないですか」
「……」
「何で人の家に来て室内をうろうろしてるんです、もう台所周辺の実況見分は十分すぎるでしょう」
「……」
「ほら、私に完膚なきまでに負けたんですから早く勝者にアイスのひとつも買ってきなさいよ」

そう、つまりはギルバート君に課された罰ゲームである。なのにその彼が何も動かないというか動けない素振りを見せるのでは意味がない。

「暑いのがいやなのはわかりますけど、ねぇ」
「……違う」

困った子だ、とからかうように言ってやるとぼそりと否定を返された。あら、そうなんですか。なら、なんで。

「……笑わないか」
「中身にもよります」
「もう笑ってるぞ」
「いつもですヨォ…早く言いなさい」
「夏は、ただでさえ他の季節よりもあれが多いだろ」
「あれ?」
「雨が降るともっと多くなるから、だから」
「だからあれってなんです?もしかして雷とかですか?」
「〜〜〜っ、湿気だ!」
思い切り顔を赤くした彼に一瞬呆けてしまった。その、あの、髪の癖が、酷くなるだろう。どんどん尻すぼまりに消えていく彼の言葉、赤くなっていく顔。反比例してどんどん笑いを堪え切れなくなっていく私の唇はわなわなと大きく震えだした。

そういえばこの、黙ってさえいれば眉目秀麗な男は馬鹿だった。それもくるくると巻いたワカメのような髪の毛がコンプレックスの。それに中身は実年齢割る2だ、考えられたのはそこまでで、私の喉は、あはははは、と思いっきり彼を笑うために忙殺された。

「だから言うの嫌だったんだ…!」
「だって、きみ、そんな…っ!」

呼吸困難だ、甘いものが食べたい。落ちつかなければ、ああでももう駄目だと笑い転げる私に彼の顔は茹で蛸そのもののような色になっている。ああもうこの餓鬼はなんておもしろいんだろうか。

「おい、ザークシーズ!外まで声が漏れて…って、ギルバートさんが来てたんですか」

がちゃん、とアパートのドアが重苦しい音で鳴ると同居人が袋を二つほど提げて帰ってきたのがみえた。目を丸くする彼の顔が涙でぼやける。もちろんギルバート君の涙ぐましい努力に感動したとかではなく笑いすぎだ。

「ああ、レイムさん、おかえりなさ…っくく」
「どうしたんだ涙目で」
「いえ…面白いこと聞いたんで」
「?」
「それよりその袋なんですか」
「ああ、スーパーによったから夕飯の材料と、あとアイスを」
「ほんとですかァ!?よかったですねギルバート君、これで君のワカメ度アップは免れましたよ!…まあ、ワカメ度だけでも上げておけばゲームの腕も上がったかも知れませんがねー」
「ッうるさい馬鹿ブレイク!」
「本当に何の話なんだ、いったい…」

唯一の良識人は怪訝な顔をしつつもとりあえず食べるかとお徳用パックと大々的に書かれたアイスバーの箱を開けた。



三人の甘党
(私コレがいいデス!)
(っずるいぞブレイク!)
(そうだぞお客様が先だ)
(もともと罰ゲームだったんですよォ?あと隠れスイーツ男子は黙ってなさい)
(なんの関係があるんだ!)

***

絶対三人とも甘党。


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