瞼をとぢます
その瞬かんの
酸っぱさが妙なまでにうそっぱちでした

あなたはきっと泳ぎが上手だったのね
あなたは海辺の非常電話みたい
そうして
あなたはかなしいひとになってしまったんだね

背中で泳ぐふり
発光するきらきら
それはわたしたちがみしらぬ宇宙人だから
よるに浮いたりする
すごく美しくて皆んながげらげらわらう

かなしいのは
あなたが穏やかに恋いをうしなうようだったから
あなたが汚くなったかおを静かにうねらせて泣くだろうと
夜のさなかにふときづいてしまったから

肺を引き攣らせて泣くしぐさは
踏み荒らされた花だんに転がるみたいだった
どれだけ呼んでも返事をしないものたちを
ずっとずっと捜しているみたいだった
その角を曲がったら泣いてもいいって云われていたのに
わたしそれをまるで信じていないみたいだった

死んでしまえば
あなたが “恋いびとたち”

やわらかい蛇口のぎんいろが滲むのをみていたい
あなた星を墜とした経験が?
そんなことってあるの?

もうにどと 尾を引いて 泳ぎ方をしらない
逢えず了い








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