呪われていたひびを
憶いだすすべがない
謎めいて逢えなくなっちゃった
おねんね上手の甘えべた
崩されて縋れないあなたがかわいい
ましろいわるく在るもの
お腹のおくに骨ぼねがくっついて
よるになるとゆるやかに蠢くみたい
めくるめく初夏の奴れい
鹿の子の脚を折る
仄めかさなくても惹かれて殺めるのに
砂漠にすわれた恋いの滲むのが
切り抜きのわたしをばら撒いている
あなたのこわねはきらきらと吸い込まれて
わたしの臓器のひとつひとつにこびりつく
そうしてふたりは夜るの背後に倒れて
てばなした瞬きのひどく穏やかなことを識る
しんだ花びらを含む行為を
どうか"美しい"などと喩えてくれるな
幽かに蕩けたら放り棄てられるだけ
惨い野いちごのあなた
このまま
いっしょに呪われてくれる?
すきとおるあなたが花らしくない蕾で
わたしは褪めない惨さを呑み込むふりをする