あなたがまみれたうつくしい怒気を
わたしは脊骨のうらがわにえいえんに潜ませていたかったのに
瞼がちくちくするみたいな
滲む花の角ばった匂いがどうしても潮っぽく感じた

とび散ったぎらぎらは余らせておいて
あなたの夏の亡き骸のあざやかさのあてに

うつくしいほしをて放した男があなただと識っていて余所みをした
うるわしい夜るに骨が傾いたみたいな難解なおとがする
(あなたは壁に、滑らかな壁に吸い込まれるふりをする)

こぼされた淡い残きょう
わたしこの恋をがなり立てて暴れのたうち回りながら諦めている
鏡面に頬をひたりつけるような純すいさで

あなたがきずつくのずっとみたい
あなたがずうっときずついてみたい
花枝折のくぐつみたい

檻がほしい
わたしがどれほど泣き散らかして
噛みつくようにがなり立てても
びくともしないような
そうして
永いときをかけて
春のまぼろしに骨を溶かされて
それがまっ逆さまに
壁を伝いころげ落ちてゆくおとがしずむのを
存在しない耳たぶで吸い込むのだ
瞼を
張るのだ

残花の僻
もうすこしの惑いも尽きる
ただ花の芳りを浸した
その死に際が
死に顔が

あなたが余りにうつくしくて
わたしはげらげら辺りを引っ掻きながらわらう
すこし湯冷めしたような皮膚のすきまに
なにかを流しこむみたいにげらげらわらう

厭になるくらい色めいたの
あなたのくるしい

ただあなたがいない
だからこれはきっと
ロマンスだったのだ

醒めた眼球が半回転しそうにもない
耳のうらがわがうずうずするような残酷さで
軋む神経が薄く引き伸ばされてゆくような
求めていたはずのえいえんを手にした瞬きにこうして
“不快なおれの総て”が額に翳をつくる

「うごかしてもいない骨のおとが
神経にのびてくるきがするの」











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