夜深くに花
そこそこうつくしい絵画
まばゆい瞼の膨らみがやぶれる
かれはひとさしゆびでわたしの頬を盗む
わたしたちがひとつずつこわしてきた夜るがとおのいてゆく
甘ずっぱくて啼けない
「ふり」ってとくいでしょ あなた そのざわざわいう蛾もどきのはだざわりを 花やかな「ふり」ってするの あなたの専売特許でしょう わたしすごくすきだなあ あなたの死にざまが はやおくりの感かくが 流れるのって すごくすきだなあ
泳ぐのばれちゃった
春めいた暴力
生ぬるい泳者のあし
まぼろしのさかな
淡くて奇妙
踊れないふたつの眼球に吸いつく
うそつきの奇術師へ
呪いに齧りつくあなたの俯く角度がてい寧だった 闇が引き摺り込まれるような静かなひ膚の騒めきが 縁日の湿った街灯に似て 仄かにひとを殺める その狭間で あなたの睫毛が散りぢりになって わたしたちの踵は 花を踏む 痕を遺さず それがえいえんの安寧だと云いきかせるように 睡る骨の一つひとつを 地獄の髄にはたき落とすように 憶いだせない馨に 蓋をするように
えいえんだったよ
だからもう
いらなくなっちゃったんだね
“蜜はたらふく”