▽ 新学期
「姉さん…兄さん…」
「レギュラス、泣かないの」
「ホラ、菓子とか送ってやるから泣くなよ」
「ミクはクズですよ兄さん」
「ぶっ殺すぞテメェレギュラス!!」
「いやいやルカが至高っしょ〜」
レギュラスとバーティがべそをかきながら見送り(?)に来た。付き添いは勿論クリーチャーだ。
シリウスはアンタレスに「私たちがオタクだということを誰にもバラすな、特にクソメガn…ポッターにはね」と般若の形相で詰め寄られ、震え上がりながら首を縦に振る。コンパートメントに一緒に乗ることも許されなかったシリウスは泣きながらジェームズたちグリフィンドール生を探しにいくことを余儀なくされた。
かなり早めにホグワーツ特急に乗ったので、車内はまだガラガラだ。だからこそ七人は周りを気にせず大きめの声で喋ることができる。コンパートメントに入った瞬間にエイブリーがワッと泣き出した。
再びチェルシーと離れることになったエイブリーの顔は正直見れたものではなかった。元々顔が整っているので威力は倍増している。未だに一匹しか飼っていないのでキャットホテルに預けることは不可能なのだ。
「チェルシぃいい…」
「エイブリー、あなたいい加減顔拭きなさいよ」
「甘いよアンタレス、スコージファイすればいいじゃない」
「ラバスタンは何で既にその呪文を習得してるんですか」
「アントニンの部屋が汚くてね」
にっこりと黒い何かを背負って笑うラバスタンにアントニンは気まずそうに視線をそらした。
ソーフィンとマルシベールは我関せずと最近買った新しいマンガ、"強がりペダル"を一心不乱に読んでいる。"じてんしゃ"という乗り物を操るマグルの青春物語だ。
移動手段は徒歩か箒か煙突飛行、もっと経験を積めば"姿現し"である魔法族にとって自転車はとても新鮮にうつった。今まで読んだマンガにも勿論自転車は出てきたが、それで競争する内容なんて見たことがなかったのだ。
「古泉ってスポーツマンガに出てくる典型的な天才だよな」
「…大野田はの○太みたいだな」
「フェアリーヘッドのアキに似てるぜ鳴尾は」
自転車ほしい、と呟いたマルシベールだったが、一学期にフンフンフンディフェンスのせいで筋肉痛になったことを思い出して微妙な表情になった。
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