「ねぇ、なまえって獄寺のこと好きなんでしょ?」



「グッ、…ゲホッゲホッ」


教室で京子と花と楽しくお弁当を食べてる時に花からの一言。
お母さん特製の甘い甘〜い卵焼きを吹きそうになった。


「なまえちゃん、大丈夫!?」

吹きそうになったのを堪えたら、逆に気道につまってしまった。


「ちょっ、花、何言ってんの」

「本当の事でしょ?私達には直接言わないけど、いつも目で追いかけてる」


ズバリその通りだったので、返えす言葉がなかった。


「告白とかしないの?」

「そっ、そんな私は!……高望みはしないよ。ただ、毎日見れるだけで幸せだから」


獄寺が笑ってる姿を見ているだけで自分も笑ってしまう。
でも、話すことすらままならないのに付き合うだなんて…。


付き合う事は望んでないけれど、やっぱり好きな気持ちは変わらないので授業中は獄寺を見てた。
と言っても、前の席だから背中だけしか見えないけど。


「…………」


前の席なんて、私は何て幸せなんだろう。
でも、獄寺の背中を見てると胸がぎゅうっと苦しくなる。
愛しく思えてくる。


「………付き合いたいな」


ハッとした。
無意識に言葉が出ていた。
高望みはしないなんて言いながら、本心では思ってたんだ。


「なまえ」


本心が分かって動揺してると、ご本人の獄寺が振り向いて名前を呼ぶから、もっと動揺してる。


「誰と付き合いたいって?」

「え?」


その獄寺は口角を上げて意地悪な顔をしていた。







(ずっと、後ろからの強い視線気づいてた)






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