響子さま


何でだ、何でこういうことになった?!てか、私、あいつに何かしたっけ?!
名字名前、15歳。只今追いかけられてます。えっ、誰にかって?あいつだよ。青学の天才もとい青学の魔王さ―――
「ん?誰が魔王だって?」
ギャー!!すぐ後ろにいるー!!
「何で追いかけてくるのよ、周助!!」
「………。」
「黙るな!答えろー!!」
さっきからこの繰り返しだ。早く昼休み終了のチャイムよ、鳴ってくれ!

まあ、いつも周助は少し不思議な雰囲気があったが、今日はそれが何故かいつもの倍だ。朝通学路で会ってからずっとついてくるし、授業中は真顔でずっと此方を見てくる。しかも開眼して!!英二に尋ねても口ごもってすぐに逃げちゃうし、他のクラスに逃げても、女子は周助の王子様スマイルに負けて、女の友情をあっさり捨て、私を差し出しやがった。男子テニスメンバーは私を見て、そそくさとどこかへ去ってしまう。あの手塚ですらだ!一体どうなってんの、今日?!

「はっ!!」
目の前は行き止まりになっていた。くそ……いつの間にか誘導してたな。仕方ない……覚悟を決めて後ろを振り返ると、
「ちょっ!!」
目の前に周助が立っていた。近い、近い!!って何で更に近づく!?反射的に後ろに下がると、また一歩近づいてくる。後ろに下がると、また一歩。そうこうしているうちに、気が付くと、後ろは壁になってしまった。それでも彼は近づいてくる。そしてとうとう、周助の腕に挟まれてしまった。ってあれ?これ、壁ドンっていうヤツですか?話で聞いたみたいに全然ドキドキしないんですが。というか、恐怖を感じるんですが?!
「ちょっと、周助!近いって!少し離れて!」
「………。」
「あの、私何かしました?!何かしてたら、謝る、謝るから!とりあえず離れて!」
「………今日。」
「今日?」
「何の日か分かってる?」
………。何の日でしょうか。えっ、えーと、何の日だろ……うーん……
「って、ちょっ!」
近い、近いよ!一回離れたのに、質問に答えられなかったら近づいてくるんですか!?何の拷問?!
その時、視界の隅を一つの影が横切った。ってあれは……
「リョーマ!Help me!」「!!」
って逃げ出しやがった!
「待って!今日が何の日かだけ教えて!」
「えっ、先輩……今日って不二先輩の誕生日じゃないっすか……」
「えっ?」
「越前、覚えておくんだよ……」リョーマは、真っ青になって行っちゃった。でもまあ、リョーマのおかげで分かったわけで……
「今日、誕生日なの、周助?」
「やっと気づいたね、名前。」
「で、どうして私はこういう目にあっているんでしょうか?」
「………分からないの?」
「うん。」
周助は溜息をつくと、また更に顔を近づけてきた。で、何で近づくんだ?!心臓がバクバクするんですが!!
「はあ……誕生日といえば何?」
「えっ……プレゼント?」
「正解。で、プレゼントは?」
………なーんだ、プレゼントを催促してただけだったのかぁ……。って、えっ?
「なっ、何で私なんかにプレゼントを催促なさるんですか?!周助のことだから、女子から沢山貰うでしょ!」
「何でって……好きな子からプレゼント貰いたいからだよ。」
「はっ?」
今、何と?好きな子?すきなこ?スキナコ?ってはぁ?!
「あっ、真っ赤になった。可愛い。」
可愛いじゃない!何、それ!!えっ、それじゃあ、周助は私のことが……
「クス……好きだよ、名前。」
まっ、マジかーー!!えっ、えっ、えーー!!うわーっ!!
「で、返事を聞かせてくれるかな。」
返事は……私の返事は……
「私も好きだよ――んっ!」
キスされた。
「ちょっ、不二周助さん?!」
「響子のことだから、用意してないと思って、響子のファーストキス貰っちゃった」「………勝手に貰うなーーー!!」

こういう訳で私は周助と付き合うことになった。余談だが流石にプレゼントが私のキスとかは恥ずかしかったので、後日改めてプレゼントを渡すと、彼は喜んでくれた。そして、リョーマは原因不明の高熱に見舞われたそうだ。



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