よんぶんのいち


4年に1度、1年が366日になる。それを知ったのは小学生のとき。
4年に1度だけ、彼の誕生日がやって来る。それを知ったのは、中学生最後の年だった。
ならば、不二くんの誕生日プレゼントはいつ渡すべきなのだろう。2月28日?3月1日?今年は閏年じゃないから、2月29日がカレンダーに記されていない。困ったものだ。
散々迷った挙げ句、私は2月28日と3月1日にプレゼントを渡すことにした。

「お誕生日おめでとう」
「昨日も貰ったのに、いいの?」
「うん」
「ありがとう」
私の大好きな微笑みを浮かべ、不二くんは私が差し出したプレゼントを受け取ってくれた。
不二くんは林檎が好きだから、昨日はアップルパイを作ってきた。今日は、お菓子じゃなくて、普通のプレゼント。
「開けるね」
「うん」
私の返事を聞いて、不二くんは丁寧にリボンを解いていく。中身を見て、不二くんは顔を上げた。
「可愛いね、これ」
不二くんの手には、プレゼントのサボテンのキーホルダーが握られている。気に入ってもらえたみたいで良かった。
私がほっとして微笑むと、不二くんも微笑む。
「一つ、お願い聞いてもらってもいいかな?」
「うん。私にできることなら何でも」
「放課後、デートしようか」
「え」
「駄目?」
「駄目じゃない」
「じゃあ、今日の放課後に」
不二くんは自分の小指と私の小指を絡めた。
「約束」
「うん、約束。あのね、不二くん」
「何?」
「お誕生日、おめでとう」
私がもう一度言うと、不二くんは、ありがとう、と微笑んだ。

4年に1回しか訪れない、特別な日。2月29日が訪れた時は、もっとお祝いできたらいいな。


よんぶんのいち
(僕らに特別な日がやってくる)


Happy birthday to S.Fuji.



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