「っはあ、はあ…………っ」
ずるりと涼太が抜け出ていく感覚に、私は肩で呼吸を繰り返しながら身を震わせた。
疲れ果てて指一本すら動かせない私の身体を、彼は丁寧に拭いてくれる。
敏感になった私の身体は、その柔らかい手つきにさえピクリと反応してしまった。
「ははっ、まだ欲しいんスか?」
「やっ、違っ…………」
「分かってるスよ」
もしかしてまだ続けるの、と恐れおののいた私の頬に、涼太はクスクス笑いながらキスをしてくれた。
「冗談ス。これ以上は無理させらんねっスよ」
いつも無理させてごめんね、と耳元で囁く、その悲しそうな声音に私は息を呑む。
情事の最中の涼太は私がいくら「もう無理」と言っても聞き入れてくれない。
止められないから、と謝りながらガツガツと私を食い荒らす。
だから情事後の私は常に、体力を使い果たして息も絶え絶えだ。
でも。
私は重たい腕を何とか持ち上げて、涼太の柔らかい髪をさらさらと撫でた。
「大丈夫…………涼太だから」
だから心配しないで、と囁くと、今度は涼太が息を呑んだ。
困ったように眉を下げながら、こつんと私と額をぶつけて瞳を覗き込まれる。
「…………そんなにオレを甘やかすと、調子に乗っちゃうスよ」
言いながら、ちゅっ、と唇に軽いキス。
その甘さと、涼太の瞳の奥に再び灯った熱情に私は慌てる。
「でっ、でも今日はダメ! ホントにダメ、これ以上したら私死んじゃう!」
ぐいぐいと彼の胸板を押す手を、クスクスと笑う涼太の手に絡め取られて私はひっと小さく悲鳴を上げた。
「えいっ」
涼太は突然私をぎゅっと抱きしめながら、自分もぼすんと勢いよく私の隣に寝転がった。
突然のことに目をぱちくりさせる私を見て可笑しそうに笑いながら、涼太はぎゅーと私を抱きしめる。
「あんたに死なれちゃ困るから、今日は我慢する。そのかわり、今日はあんたを抱き枕にさせてくださいよ」
そのまま額にちゅっとキスを落とされて、私は気恥ずかしさに顔を赤く染めた。
「もう…………」
照れ隠しに、彼の腰に私も腕を回すと、素肌がますます密着する。
ぴったりとくっつくお互いの体温に、何故かとてつもない安心感を得た。
「こうしてるの、気持ちいいかも」
それを素直に口に出すと、涼太はふふっと笑う。
「そうっスね。気持ちいい」
言いながら涼太はするすると私の髪を指に絡めて弄び始めた。
その柔らかな刺激に、何故か急激な眠気に襲われる。
「眠い?」
「うん……………」
「そっか、あんたって髪の毛いじってるとすぐ寝ちゃうスもんね」
しかも今はバテバテだしね、と余計なことを言いながら、彼は私の髪を優しく梳いてくれる。
(幸せな夢を見てください)